研究課題/領域番号 |
22K15714
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
木村 活生 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 診療講師 (60438140)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | Parkinson Disease / Deep Brain Stimulation / Local Field Potential / Subthalamic Nucleus / Closed Loop DBS |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,視床下核脳深部刺激療法(STN-DBS)施行時の術前患者情報,神経放射線画像,術中神経細胞活動記録,留置電極から採取した局所脳波,術後試験刺激結果,臨床症状の長期予後,LFPの長期的変化についての相関解析を行う.STNの「どこの」刺激で「どのような」症状変化が「どの程度」生じたのかを解析し,部位別の刺激効果の確率的予想モデルとして視覚化する.新規症例に対しマッピング図を用いた治療計画を策定することで,客観的な情報に基づいたSTN-DBSの方針決定が可能となり,経験的治療による結果のばらつきを抑え,より効果的な治療の提供をめざす.
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研究実績の概要 |
初年度は研究対象患者の組み込み,取得する既存情報,新規情報を選定し,評価手順を確立した.当院のこれまでのSTN-DBS施行例のうち,研究参加への同意が得られている症例に関して,研究データを,症例毎に電極位置とその周辺構造物・線維,術中試験刺激結果,各刺激点の刺激効果,長期刺激部位・効果,長期予後・有害事象について評価し,各症例の画像解析を開始した.一部既存情報の活用の際に,取得した医療画像の解析に想定外の手順を要するものがあることが判明した.これは医療機器更新の際にデータ記録のフォーマットに一部変更が生じていたためであり,現在互換性を持たせるためにソフトウェア改修と選定,調整に時間を要しているが今年度中に解消される見込みである.研究遂行のために既存の実験装置の設定変更,改修のための支出をした.また情報管理のための物品への支出をした. これらの解析には当初計画より時間を要しているが,一部完了したデータをもとに確立的モデルを用いた手術計画策定と予後予測のための先行研究を開始した.前述の解析進行に伴い結果の差異が生じる可能性は十分予測されるが,必要機器の選定・入手・調整には時間を要することから方法論確立を選考するために作業を開始ししている. 今後前述の作業に引き続き確率的モデルの検証と予後予測精度向上の検討を行う予定である.これらに関しても作業手順の確認と必要な物品,調整箇所の確認を進めている. 現時点まで画像関連の作業を優先し,神経生理情報を含めたモデル構築作業に関しては遅滞が生じている.この分野における作業の一層の推進をはかる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は臨床情報の活用を基本としている.新型コロナウイルス感染症感染拡大に伴う診療制限のため本研究対象である脳深部刺激療法適応患者の診療に制限が生じていた.また制限緩和後も他の優先すべき疾患への診療が優先されたため,通常時と比較し脳深部刺激療法手術や評価の計画立案から実際の治療完了までに概ね6ヶ月程度の遅滞が生じた.この関係で研究に必要な情報の取得に遅滞が生じた.また感染予防のために必要であった追加医療処置のため,情報取得に制限が生じた期間もみられた.また研究に必要な機器設定や改修のために外部業者への物品発注や調整が必要であるが,こうした点に関しても新型コロナウイルス感染症感染拡大に伴う影響が見られ,遅滞が生じた. 今後制限緩和が進み,診療環境が平常化するに連れ,前述したような状態は改善されることが予想される.
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今後の研究の推進方策 |
本研究は2年間の研究期間の下に行うことを計画している.計画としては以下の4段階に分けられる. 1.確率的モデルの作成:既存の取得情報をもとに症例毎に電極位置とその周辺構造物・線維,術中試験刺激結果,各刺激点の刺激効果,長期刺激部位・効果,長期予後・有害事象について評価し,各症例の画像上に結果を表示する.それらを標準化脳にマッピングし,STN内の各部位を刺激した際の改善率として3次元確率的モデルを作成する. 2.確立的モデルを用いた手術計画策定と予後予測:上記モデルをもとに手術計画を策定・手術施行した症例について,モデルの妥当性を検証する.今後のSTN-DBS施行例において,解析した標準化モデルと各症例の融合像を作成し,症例プロファイル毎の推奨電極留置部位及び刺激最適部位予測と予後推定を行い,症例ごとに最も改善効果が高いと予測される電極留置部位を算出する. 3.確立的モデルの有用性の検証と予測精度向上:長期予後(術後3・6ヶ月後)と予測結果の相違を検証し,確率的モデルの修正・精度向上を図る. 4.確立的モデルの高精度化と安全性評価:神経生理情報を含めたモデル構築を完成する. 1.2に関しては残存している作業を推進する.3.4のうち,特に神経生理情報の解析に時間を要する見込みであり,遅滞を最小限にすべく作業を推進する.
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