研究課題/領域番号 |
22K15724
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
成瀬 紘也 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (20898241)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / オートファジー |
研究開始時の研究の概要 |
筋萎縮性側索硬化症 (ALS) は、運動ニューロンの選択的細胞死により運動機能が失われ、2年から5年で死に至る神経難病である。その病態には不明な点が多く現時点で根治療法は見出されていない。本研究では、ALS症例の網羅的ゲノム解析情報を駆使して、特定のオートファジーのパスウェイの障害による、ALS発症のメカニズムを明らかにする。オートファジーの障害からALS発症へ至る病態機序を遺伝子レベル、さらには細胞・動物モデルを用いて解明することで、病態に基づくALSの新規治療薬の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の発症に関与する新規のALS関連遺伝子の同定とそれらの遺伝子のバリアントが寄与する具体的なALS発症メカニズムを解明するとともに、病態に基づく治療薬の開発を目指している。当施設で収集した孤発性ALSおよび家族性ALS症例において、特に発症後に急性の経過を示す症例や若年発症の症例など、特徴的な臨床病型を呈する症例に着目して、遺伝子解析を実施した。同時に継続的に収集してきたALS症例に対して、全エクソンシーケンス解析や全ゲノムシーケンス解析などによる網羅的ゲノム解析情報を駆使し、ALS関連遺伝子を同定するための変異解析を実施した。 実際に同定したオートファジーに関連する遺伝子とそのバリアントについて、新規バリアントのALS発症に関わる病原性評価を実施した。オートファジーに関わるパスウェイと検出されたバリアントとの関連性や、そのパスウェイの障害からALS発症へ至るメカニズムの確立を目指し、遺伝子・細胞モデルによる機能障害性の評価のための実験準備を整えた。継続的に収集してきたALS症例の変異解析データに基づき、ALS関連遺伝子のバリアントの有無や病原性の確認など再現性の確認を進めた。 本研究では、ALS症例だけでなく、様々な神経変性疾患の検体収集と遺伝子解析も幅広く実施している。家族性ALSおよび孤発性ALS、さらにはその他の多くの神経変性疾患の症例についても病原性変異を同定した。特に前頭側頭型認知症(FTD) の孤発例において、VCP遺伝子の変異を同定し、その臨床症状と併せて報告した (Kobayashi and Naruse et al.BMC Neurol (2022) 22:406)。これらの成果は、ALSを含む神経変性疾患の病態解明に寄与するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の発症に関与する新規のALS関連遺伝子の同定とその遺伝子機能が関係する具体的なALS発症メカニズムの解明、そして病態に即した治療薬の開発を目指している。継続的に収集してきたALS症例について、全エクソンシーケンス解析、全ゲノムシーケンス解析などによる網羅的ゲノム解析情報を駆使した変異解析を実施した。実際に同定したオートファジーに関連する遺伝子とそのバリアントについて、新規バリアントの病原性の評価、オートファジーに関わるパスウェイの障害からALS発症へ至るメカニズムの確立、遺伝子・細胞モデルによる機能障害性の評価を実施するための実験準備を整えた。ALS症例だけでなく、様々な神経変性疾患の検体収集と遺伝子解析も実施し、家族性ALSおよび孤発性ALS、さらにはその他の多くの神経変性疾患の症例についても病原性変異を見出した。特に前頭側頭型認知症(FTD) の孤発例にVCP遺伝子の変異を同定し、その臨床症状と併せて論文報告した (Kobayashi and Naruse et al.BMC Neurol (2022) 22:406)。以上より、オートファジー機能のALS/FTDへの寄与も含め、ALSの病態解明に迫る研究成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
継続的に収集しているALS症例について、全エクソンシーケンス解析、全ゲノムシーケンス解析などによる網羅的ゲノム解析情報を駆使した変異解析を引き続き実施していく。そして変異解析によりALS症例に特異的に同定された、ALS発症に関連すると考えられるオートファジー関連遺伝子などのレアバリアントについて、さらに機能予測や細胞モデルを用いて機能障害性の評価を詳細に行う。そしてオートファジーなどに関わる新規ALS遺伝子およびそのバリアントに関連するパスウェイの障害による、ALS発症の新規メカニズムを確立していく。オートファジーなどの障害からALS発症へ至る機序を遺伝子および細胞・動物モデルで解明することにより、病態に基づくALSの新規治療薬の開発を実現する。
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