研究課題/領域番号 |
22K15726
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(静岡・てんかん神経医療センター臨床研究部) |
研究代表者 |
松平 敬史 独立行政法人国立病院機構(静岡・てんかん神経医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (80743210)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | てんかん / PET / ミトコンドリア機能障害 / 神経炎症 / 側頭葉てんかん |
研究開始時の研究の概要 |
難治性側頭葉てんかん(TLE)の病態解明やてんかん原生の同定は臨床上の重要な課題である。本研究ではPETを用いて、難治性TLEのミトコンドリア機能障害と神経炎症を可視化し、両者の関連性や臨床症状との比較、手術標本を用いた病理学的検討も行う。このことで、ミトコンドリア機能障害と神経炎症といった新しい側面から、難治性TLEの病態検討、てんかん原生の同定、新たな治療法の手がかりを開拓する
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研究実績の概要 |
てんかんは有病率が高い慢性の脳疾患で、抗てんかん薬による治療が中心となっている。しかし、抗てんかん薬への反応性が乏しい難治性側頭葉てんかん(難治性TLE)は外科手術の適応となる事も多い。一方、難治性TLEの分子機構を含めた病態背景は不明な点が多い。そのため、難治性TLEの病態解明やてんかん原性焦点の同定は臨床上の重要な課題となっている。 難治性TLEの病態は、過去の報告などからミトコンドリア機能障害や神経炎症の関与が示唆されている。一方、生体脳での検討は乏しく、両者の関連についても不明な点が多い。ミトコンドリア電子伝達系複合体Ⅰ活性を評価できる[18F]BCPP-EFと神経炎症を評価できる[11C]DPA713を用いて、ポジトロン断層法(PET)で撮影を行い、難治性TLEにおけるミトコンドリア機能障害と神経炎症を可視化し、分布や程度を評価する。また、PET撮像で得られたミトコンドリア機能障害・神経炎症と臨床所見などとの比較検討も行う。このことで、難治性TLEにおけるミトコンドリア機能障害と神経炎症を可視化するだけでなく、臨床症状との関連を明らかにすることで難治性TLEの病態やてんかん原性焦点について検討することが目的である。 本年度は、難治性TLE症例の臨床評価や各種検査を進めるとともに、難治性TLE症例と健常者の[18F]BCPP-EFおよび[11C]DPA713 PETの撮像を行い、データ取得と初期解析を行った。引き続き、難治性TLE症例と健常者のPET画像の撮像を継続し、データベースの作成を行う予定である。また、症例が蓄積した段階で、PETデータの解析方法・PETデータや臨床症状との統計画像解析法の妥当性についても、並行して行い、ミトコンドリア機能障害・神経炎症を可視化し、難治性TLEにおける両者の関連を明らかする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
難治性TLE症例と健常者のリクルートを行い、臨床評価・各種検査を進めた。本年度は、難治性TLE症例9例と健常者4例の[18F]BCPP-EFと[11C]DPA713のPET撮像を行った。得られたPETデータの解析を進め、ミトコンドリア機能([18F]BCPP-EF)はstandardized uptake value ratio (SUVR)法を用いて画像を作成し、神経炎症([11C]DPA713)はsimplified reference tissue model(SRTM)を用いて結合能(BPND)画像を作成している。症例数は少ない状況であるが、SPM12を用いてミトコンドリア機能障害と神経炎症の関連がある脳解剖学的な部位や両者から得られたPET値の相関関係などの検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
難治性TLEにおけるミトコンドリア機能障害と神経炎症との関連を検討するため、引き続き、難治性TLE症例と健常者のリクルートを行い、データベースの作成を行う。初期解析でミトコンドリア機能と神経炎症の画像を作成し、健常者で作成した画像と比較し、各々に対して適した統計画像解析法の妥当性についても検討をする。また、手術が行われた症例に関しては、臨床経過や病理学的検討も含めて進める。得られた結果は、学会発表や論文投稿を予定している。
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