研究課題
若手研究
パーキンソン病・本態性振戦・ジストニア性振戦それぞれにおいて,1年間に10~20例の組み入れを想定している.研究期間終了までに術前後の評価が終了した症例については,研究計画1(パーキンソン病・本態性振戦・ジストニア性振戦における振戦に関連する脳ネットワークの相互比較),研究計画2(加速度計および表面筋電図における診断マーカーの検討),研究計画3(FUSを施行するパーキンソン病・本態性振戦・ジストニア性振戦におけるQOL変化の解析)の全てについて解析を行い,術前のみの評価が終了した症例については研究計画2の解析を行う予定としている.
現在までに合計95例の本態性振戦,ジストニア性振戦,パーキンソン病患者の研究への組み入れおよび術前評価を行った.振戦重症度評価およびQOL評価尺度に加え,脳機能画像 (安静時機能的MRI)・拡散テンソル画像の撮像,加速度計を用いた評価も行った.加速度計データについては名古屋大学情報学部の研究者との共同研究により,主要な振戦関連パラメータをPython上で自動解析するソフトウェアを開発した.術前データを用いて,本態性振戦,ジストニア性振戦,パーキンソン病の加速度計データによる特徴抽出を試みた.その結果,振戦の周波数は本態性振戦よりもジストニア性振戦で有意に低かった.安静時振戦の不規則性(tremor stability index)はパーキンソン病よりもジストニア性振戦において有意に高かった.half width powerを用いた振戦の強さの左右差の検討では,本態性振戦と比較してジストニア性振戦やパーキンソン病において左右差が顕著であった.加速度計が客観的な診断マーカーとなる可能性について,国内外の学会において報告した.さらに,論文化に向けた準備を進めている.また,集束超音波療法を施行した患者においては,名古屋大学および協力病院における術後の定期評価を行っている.術前後の比較により,(1) FUSの振戦および生活の質を改善する臨床効果を明らかにする,(2) 相互比較を通したパーキンソン病・本態性振戦・ジストニア性振戦における振戦に関連する脳ネットワークの共通点・相違点を安静時機能的MRIを用いて明らかにする,ことが期待される.データ蓄積は順調に進んでおり,2024年4月からの基盤研究(C)「デジタルマーカーとfMRIによる振戦疾患の病態解明と集束超音波の治療効果判定」に引き継いで研究を進めていく予定である.
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Neurologia medico-chirurgica
巻: 64 号: 4 ページ: 137-146
10.2176/jns-nmc.2023-0202
Parkinsonism & Related Disorders
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