研究課題/領域番号 |
22K15735
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
戸叶 美枝子 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (20922561)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | アデノシン / 好中球性炎症 / IL-17 / IL-8 / IL-31 / Candida albicans / イストラデフィリン / ドーパミン / adenosine / Th17 / CD4 / immunology |
研究開始時の研究の概要 |
申請者が所属する研究室の過去の研究により、ドーパミンD1様受容体アンタゴニストおよびD2様受容体アゴニストが17型ヘルパーT細胞(Th17)応答抑制を介して好中球性炎症を抑制することが明らかになっている。Thの分化や活性化には、ドーパミン以外の神経伝達物質受容体からのシグナル伝達も関与している。申請者らは自己免疫疾患等の好中球性炎症においてアデノシンを介したシグナルが重要な役割を担っており、アデノシンA2a受容体拮抗薬(イストラデフィリン)が各種好中球性炎症を抑制することを見出した。本研究は、免疫細胞に対するアデノシンA2a受容体拮抗薬の作用機序を明らかにすることを目的としている。
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研究実績の概要 |
本研究では、1)免疫細胞に対するアデノシンA2a受容体拮抗薬の作用機序を明らかにする、2)cDNA display libraryを用いた特殊ペプチドアンタゴニストを開発する、3)代表者らがすでに手にしている各種動物モデルを用いて薬剤の有効性を実証する、の3点を柱に研究を進めている。ヒト末梢血単核球(PBMC)、CD4 陽性リンパ球、Candida albicans抗原刺激ヒトPBMCを使用して、アデノシン、アデノシン受容体アゴニスト・アンタゴニストのサイトカイン応答への影響を解析した。アデノシンとアデノシンA2a受容体(A2aR)アゴニスト(PSB0777)がPBMCおよびCD4 T細胞からのIL-17AおよびIL-8産生を促進し、A2aR受容体拮抗薬であるイストラデフィリンがこの応答を抑制することを示した。さらに、イストラデフィリンは、アデノシンによって誘導されるIL-17AおよびIL-8産生だけでなく、C. albicans抗原刺激PBMCから産生されるIL-8も阻害した。これらの結果から、アデノシン媒介IL-17AおよびIL-8産生が好中球性炎症において役割を果たしており、これにイストラデフィリンが有効であることが示唆された。また、マウスのCD4陽性リンパ球を使用した解析では、アデノシン A2aRと結合するGsタンパク質の下流のシグナル伝達分子であるアデニル酸シクラーゼ、プロテインキナーゼA、cAMP response element binding protein(CREB)の阻害剤によりIL-17A産生が抑制された。これによりA2aRシグナルの活性化がCD4陽性リンパ球によるIL-17A産生を誘導すると考えられた。さらにアデノシンは、マウスCD4陽性リンパ球からのIL-17A分泌だけでなく、IL-31の産生を促進することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、1)免疫細胞に対するアデノシンA2a受容体拮抗薬の作用機序を明らかにする、2)cDNA display libraryを用いた特殊ペプチドアンタゴニストを開発する、3)代表者らがすでに手にしている各種動物モデルを用いて薬剤の有効性を実証する、の3点を柱に研究を進めている。 1)についてはアデノシン等の作用によりCD4陽性T細胞のIL-17/RORγtの発現が亢進していることを、FACSや定量PCRを用いて解析した。また、ヒトにおいても同様の現象がみられることを確認し論文投稿した。さらなる解析を行い、現在1編投稿中である。 3)については再発寛解型EAEマウス、アトピー性皮膚炎モデルマウスにて、イストラデフィリンが有効であることを示し、論文投稿した。 今年度は、1)について、計画的に実行できたと考える。2)については予備実験の段階で期待される効果が出なかったため計画より遅れている。3)については来年度、新たなモデルマウスでの実験を計画している。
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今後の研究の推進方策 |
3)について、自己免疫疾患のみならず感染症やアレルギー疾患においても好中球性炎症が主な病態となり得るものをについて、モデルマウスを作成し、研究を進めたい。また、2)については今後、予備実験を継続する。
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