研究課題/領域番号 |
22K15742
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
坂井 舞 東北大学, 医学系研究科, 助教 (20910425)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 産後うつ / マウスモデル / ミトコンドリア / メタボローム / 代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
周産期に発症する産後うつは子供の発達に悪影響を及ぼし, その生物学的要因は不明である. 申請者はミトコンドリアの機能に着目し, クエン酸回路および酸化的リン酸化が産後うつの発症に及ぼす影響を明らかにする. 本研究では, 産後うつモデルマウスを確立し, 周産期ストレスが肝臓および脳内のミトコンドリア機能や産後うつに及ぼす影響を明らかにする. さらに, 大規模コホートの食生活情報に基づき, 早期栄養介入による産後うつ症状の改善を動物モデルで検証する. 本研究結果は周産期の母親のメンタルヘルス向上に寄与することが期待される.
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研究実績の概要 |
我々は産後うつ様症状を呈する500名母親の妊娠中から産後までの血漿メタボローム変動を追跡し、Erythrulose、Cysteine 等の糖質やクエン酸経路に関連する代謝物の変動を突き止めた (Yu et al., 2022)。本年度、産後うつ症状を呈する 1,202 人および健常者 7,346 人におけるGC-MS, LC-MS, およびNMRの血漿代謝物を追加解析し、タンパク質をつくる20種のアミノ酸の中、産後うつにより、7種類のアミノ酸の発現減少を突き止めた。この結果を踏まえて、本年度は産後うつモデル動物を確立するために、種々の先行研究から産後うつモデルの選定を実施した。これまで産後うつ動物モデルを用いた研究が国内外で多く行われている。その中、卵巣摘出後(偽妊娠)のステロイド離脱による産後うつラットモデルを用い、母親のうつ様行動および脳内の遺伝子発現変動が報告されている (Gaela et al., 2001)。 また、産後母親ラットへのコルチコステロン投与によるうつ様行動の増加、および育児行為の低下が引き起こされた (Brummelte et al., 2006)。さらに、 妊娠中の物理的拘束ストレス負荷による産後うつモデルラットでは仔ラットの成長後のうつ様行動が観察された (Xia et al., 2016)。ラットを用いた研究が多く、我々は雌の C57BL/6, または Balb/c マウスを雄マウスと交配後にストレス負荷実験 (Hu et al., 2019; Shoji et al., 2019) を行い、出産後の雌マウスおよび仔マウスの抑うつ様行動を検証し、ショ糖嗜好性試験、強制水泳および尾懸垂試験、巣づくり行動等の変化を評価し、血清、前頭前野、および海馬の組織を採取して中枢神経系、代謝系に関連する因子の測定を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
産後うつのコホートデータを計画通り追加解析できており、産後うつの動物モデルの行動実験結果も得られている。検体の測定を順調に進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
妊娠中の母親マウスに TCA 回路や酸化的リン酸化阻害物質 (MPTP, Potassium cyanide, または ketoleucine) (Mizuno et al., 1988; Pettersen & Cohen, 1993; Yudkoff et al., 2005) を投与し、 母親のうつ様行動、出生時の仔マウス数および体重を評価すると共に、コホート研究で変動していた代謝物(Erythrulose, Cysteine, Glucose, etc.)の発現も評価し、産後うつマウスモデルを確立する。上述の実験に加え、母親マウスの妊娠初期・中期・後期・産後の血漿量を測定し、各周産期における TCA 回路に関連する酵素、代謝物、および ATP 産生量を調べる。
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