研究課題/領域番号 |
22K15758
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
伊豆原 宗人 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部, 研究生 (20802838)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 睡眠覚醒相後退症候群 / オレキシン受容体アンタゴニスト / DSWPD / スボレキサント / レンボレキサント |
研究開始時の研究の概要 |
睡眠覚醒相後退症候群は、若年者の5%程度に存在し、本人の好む夜型生活を送る限り問題のない患者が、社会的スケジュールに合わせようとすることで夜間の入眠困難、朝の起床困難、日中の眠気、抑うつ、留年、退学などを引き起こし、その社会的影響は大きい。標準治療であるメラトニン療法、光療法は奏効率5割程度であり、睡眠相の前進も平均して30分程度であり、さらに即効性もなく留年の危機などには対応できない。提案者は、睡眠覚醒相後退症候群におけるオレキシン系の関与についてケースシリーズ研究を報告した。本研究では、臨床研究を行い、睡眠覚醒相後退症候群患者のオレキシン系の関与について明らかにしていくものである。
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研究実績の概要 |
睡眠覚醒相後退症候群は入眠困難、社会的に許容される時間での起床の困難を主症状とする睡眠障害である。従来から行われてきた光療法やメラトニン療法は奏効率50%程度で、約半数の患者が治療抵抗性である。睡眠覚醒相後退症候群患者の入眠困難に睡眠薬を用いて治療を行おうという試みは、本邦から1989年Ozakiら、1996年にYamaderaらにより試みられ、36%の奏効率が報告されている。しかし、米国睡眠医学会のガイドラインでは、これらGABA受容体作動薬による、健忘などの認知機能障害、筋弛緩作用による転倒、薬物依存や過鎮静などの副作用を考慮すると、使用の推奨はできないとしてきた。一方、近年これらの副作用が比較的少ないとされるオレキシン受容体アンタゴニストと呼ばれるタイプの睡眠薬が開発され、その安全性から頻用されるようになってきている。申請者は睡眠相後退症候群患者にオレキシン受容体アンタゴニストを用いて著効した症例を集めてケースシリーズを国際雑誌に発表を行った。メラトニン受容体作動薬の効果が乏しかった症例、留年の危機で速やかな睡眠覚醒相の前進が必要であった症例などで奏功した。明らかな副作用は観察されなかった。この報告からは、睡眠覚醒相後退症候群患者の中の少なくとも一部は、メラトニン分泌など内因性リズムのずれに対する治療には反応が乏しく、覚醒系を支配するオレキシン系を減弱させるオレキシン受容体アンタゴニストに反応を示す群がいることが示唆される。本研究では、オレキシン受容体アンタゴニストの睡眠覚醒相後退症候群に対する効果について精査していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
参加者リクルートの進捗が思わしくなく、すでに蓄積されたデータの解析を行い、研究目的の達成を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
後方視的研究に変更し、国立精神神経医療研究センターの倫理委員会の承認を得た。 国立精神神経医療研究センターを受診した睡眠覚醒相後退症候群を疑われる患者2700名の処方データを取得し、解析中である。
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