研究課題/領域番号 |
22K15759
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
國石 洋 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 助教 (60805034)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 幼少期ストレス / 眼窩前頭皮質 / 扁桃体 / ニューロモジュレーション / 光遺伝学 |
研究開始時の研究の概要 |
幼少期の過剰なストレスは情動を制御する神経回路の機能に悪影響をもたらし、様々な精神疾患の発症につながると推測される。そのため、神経回路メカニズムに基づく新たな治療法の確立が必要とされている。本研究では、情動制御に重要な眼窩前頭皮質から扁桃体に投射する回路に注目し、幼少期ストレスによるこの回路の神経伝達異常と情動異常との因果関係を、マウスを用いて明らかにする。さらに、光遺伝学的なニューロモジュレーションを用いてこの回路の機能を回復させることで、幼少期ストレスによる情動行動の異常が改善することができるか検証する。
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研究実績の概要 |
情動制御に重要な神経回路として眼窩前頭皮質(OFC)の内側または外側小領域から扁桃体の基底外側核(BLA)に投射する神経回路に注目し、幼少期マウスに対する社会隔離ストレスの影響とその機能異常に対する光遺伝学的なニューロモジュレーションの影響を調べた。 これまでの研究で、幼少期のマウスに社会隔離ストレスを与えると、内側OFC-BLA回路のシナプス伝達の低下と外側OFC-BLA回路のシナプス伝達の亢進が引き起こされ、それぞれ社会性の異常とうつ様行動の異常の原因となることを明らかにした。 そこで、これらの回路のシナプス機能の異常を、光遺伝学的な神経可塑性の誘導で改善できないか試みた。幼少期社会隔離ストレスマウスの内側OFCへ光遺伝学的な高頻度刺激、または外側OFCへ低頻度刺激を与えたところ、それぞれ社会性とうつ様行動の異常が改善される結果が観察された。興味深いことに、内側OFCへの刺激はうつ様行動、外側OFCへの刺激は有意な影響を与えなかった。 加えて、これらの介入が扁桃体へ投射するOFCニューロンの機能に与える影響を明らかにすることを目的に、OFCから扁桃体へ投射するニューロンの蛍光ラベルを試みた。扁桃体に逆行性のAAVベクターを局所投与することで、OFCから扁桃体に投射するニューロンにEYFPやmCherryなどの蛍光タンパク質を発現させ、蛍光ラベルすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
OFCへの光遺伝学的なニューロモジュレーションによる行動への影響を確認できた。また、AAVによる逆行性ラベルなど、扁桃体へ投射するOFCニューロンの機能解析の準備が整った。
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今後の研究の推進方策 |
OFCへの高頻度・低頻度刺激が扁桃体へ投射する内側・外側OFCのニューロンの神経可塑性へ与える影響を明らかにしていきたい。加えて耳介迷走神経刺激などのその他のニューロモジュレーションによる行動・回路変化などの影響も今後明らかにしていく予定である、
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