研究課題/領域番号 |
22K15770
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
山本 保天 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (40930300)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 不安全運転 / 健常高齢者 / 主観的認知障害 / 軽度認知機能障害 / 運転寿命延伸 / 拡散テンソル画像 / TBSS / 運転技能 / 脳神経基盤 |
研究開始時の研究の概要 |
不安全運転リスクの高い高齢者を正確に同定する手法の確立が求められているが、不安全運転リスクの脳神経基盤についてのエビデンスは乏しい。本研究では、不安全運転リスクと脳領域間の解剖学的・機能的結合との関連を検証する。健常高齢者において、どのような脳内ネットワークの障害が不安全運転のリスクを高めるのかを明らかにすることで、客観的なリスク評価法やリハビリテーションによる介入法などの開発が期待できる。
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研究実績の概要 |
健常高齢者の不安全運転リスクを客観的に評価する実車運転評価方法の確立に向けた研究を押し進めてきた。 今年度からは、対象を健常高齢者から、主観的認知障害(SCI)および軽度認知機能障害(MCI)に対象を広げるべく準備を進めた。具体的には、研究計画書を新たに作成し、本務地である慶應義塾大学病院に加えて、東京医科歯科大学病院、慶育病院、川崎市立川崎病院からのリクルート体制を構築した。さらに、これまでに確立してきた運転技能評価方法に加えて、より簡便な測定方法を検討するために、ドライビングシミュレーター、ドライブレコーダーといった新たなモダリティでの技能評価方法を導入した。 上記を進める中、運転技能・注意力に関与するドーパミン神経伝達に関わるタンパクの脳内分布がどのように制御されているのかについて、allen human brain atlasというオープンアクセスが可能なデータベースと健常者のPETデータベースとを組みわせることで検討し、European journal of nuclear medicine and molecular imaging誌に論文を投稿した。 今回の研究では、ドーパミンD1およびD2受容体のmRNA発現量と、それぞれのタンパク質分布との間に、領域ごとの相関があることがわかった。しかし、ドーパミントランスポーターのmRNA発現量とそのタンパク質分布には領域間の相関が見られなかったことから、シナプス前とシナプス後のタンパク質の局在には異なる制御メカニズムがあることが示された。 また、三井住友海上社が保有する2013年から2021年までの期間を網羅する個人情報を含まないデータベースを解析し、物損事故の発生が将来の人身事故の高い予測因子であることを示し、老年精神医学会にて発表した。この要因および諸機能の影響を明 らかにし、個別性の高い指導や介入を行うことで、適切かつ効果的な高齢者へのモビリティ支援が可能になると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、数名程度のSCIおよびMCI患者のリクルートを実施する予定であったが、リクルートには至っていなかった。しかしながら、研究に関連する「Association of protein distribution and gene expression revealed by positron emission tomography and postmortem gene expression in the dopaminergic system of the human brain」というタイトルの論文の掲載に至れている。さらには、個別性の高い指導や介入方法、適切かつ効果的な高齢者へのモビリティ支援の開発の土台となりうる、物損事故の発生が将来の人身事故の高い予測因子であることを示し、「高齢運転者の過去の物損事故が将来の人身事故を予測する」というタイトルで老年精神医学会にて発表した。
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今後の研究の推進方策 |
対象をSCI, MCIに広げるとともに、より大規模な研究、日本各地での研究を行なって地域差によるバイアスのない客観的なリスク評価法の確立を目指す。さらにはリハビ リテーションによる介入法・個別性の高い指導や介入を行うことで、適切かつ効果的な高齢者へのモビリティ支援の実現を目指す。
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