研究課題/領域番号 |
22K15776
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
互 健二 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 脳機能イメージング研究部, 研究員 (30873020)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 軽度認知障害 / 血液バイオマーカー / タウPET / 早期診断 / 縦断的検証 / 口腔内環境 / 認知症 |
研究開始時の研究の概要 |
軽度認知障害(MCI)は認知症の早期発見や、認知症発症予防の観点から重要な介入対象である。本研究では多様なタウオパチーを検出可能であるタウPETリガンド[18F]PM-PBB3を用いて、MCI患者を対象に縦断研究を行う。[18F]PM-PBB3は他のタウPETリガンドと異なる独自の解析手法が必要である。本研究では疾患横断的な[18F]PM-PBB3 PETの解析手法を確立し、MCI患者を対象とした縦断的検討によって、その有用性について検証することを目的とする。病初期における多様なタウ病変の正確な描出が可能となれば、多様なタウオパチーを背景とした認知症治療薬の開発が可能となる。
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研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、ベースラインとなるアミロイド・タウPET撮像と並行してフォローアップでのPET撮像を遂行した。ベースラインで撮像し、アミロイド・タウPET陽性であった患者の一部は軽度認知障害からアルツハイマー型認知症へと移行し、またそれに伴ってタウPET薬剤の集積増加も確認された。同結果を含む内容の一部を国内学会でのシンポジウムで発表し、他の研究者と内容について議論し、交流を深めた。現在、一定数蓄積したタウPETの縦断データを解析すべく、preliminaryではあるが、縦断経過を追跡するのに適したタウPET画像の解析手法について検証している。 またPET撮像と並行して、血液バイオマーカーの測定および口腔内環境の評価も行った。PET画像を二次利用する形で行った検証では、タウPETの集積増加と相関する新規血液バイオマーカーを開発し、国内学会でのポスター発表ならびに国際学会で口演発表を行った。特に国際学会での口演は日本精神神経学会での国際学会発表賞(個人発表部門)受賞へとつながり、さらに同結果についてpreprintをmedrixivに公開した(https://doi.org/10.1101/2023.09.15.23295595)。 さらに口腔内環境と軽度認知障害を含むアルツハイマー病の脳内環境との関連についても検証を行い、歯の喪失がタウ病変の最初期に出現する、青班核を含む脳幹部へのタウPET薬剤の集積と関連することを解明し、同結果をJournal of Alzheimer's disease誌に発表した(https://doi.org/10.3233/JAD-230581)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
症例数の蓄積は順調に進んでおり、付随したデータの二次利用を通していくつかの成果を発表できた。一方、前回の課題であった非アルツハイマー病態に伴う軽度認知障害患者のリクルートは難渋している。これについては募集対象を前頭側頭葉変性症を含む、非アルツハイマー病認知症にも窓口を広げながらタウPETの縦断的検証を行うことを計画している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き症例の蓄積に励むとともに、症例数の拡充を図るために、軽度認知障害だけでなく認知症段階の症例にも対象を広げて縦断的解析を行う。縦断的解析ではまず病変の追跡に適したタウPET画像の解析手法の確立を優先的に行う。確立した解析手法を元に認知機能障害を含む各種臨床症状との関連について検証し、さらに独自開発した新規血液バイオマーカーとPET薬剤の集積との関連についても検証を行う。また口腔内環境などのその他二次利用可能な情報についても積極的に収集に努め、PET情報との関連について検証を進める。
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