研究課題/領域番号 |
22K15785
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
廣瀬 直毅 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任助教(常勤) (90830167)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 遺伝子発現ノイズ / 量的形質遺伝子座 / tnQTL / ドパミン作動性ニューロン / シングルセル解析 / 遺伝的リスク / 精神疾患 / 統合失調症 / iPS細胞 / 自己免疫疾患 / eQTL / 発現ノイズの量的形質遺伝子座 / セロトニン作動性ニューロン / ヒト / 発現ノイズ |
研究開始時の研究の概要 |
遺伝率が高い統合失調症などの精神疾患に関わる多数の座位が同定されてきたが、大部分の機能的な意義は不明である。近年、遺伝子発現の細胞間のばらつき(「発現ノイズ」)が、生物学的に重要であると明らかになった。 本研究では、精神疾患の遺伝的リスクと発現ノイズの関連を追究するために、精神疾患に深く関わるドパミン神経系に着目する。ヒトiPS細胞から作ったドパミン作動性ニューロンの細胞ごとの遺伝子発現と遺伝子型のデータ数百人分を解析し、発現ノイズの量的形質遺伝子座を網羅的に同定して精神疾患の関連遺伝子座位に有意に多く含まれるかを調べる。また、精神疾患モデル動物の脳における発現ノイズの調節障害も探索する。
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研究成果の概要 |
遺伝子発現の細胞ごとのばらつき(発現ノイズ)は生物学的に重要であるが、塩基配列の違いが発現ノイズにおよぼす影響や疾患との関わりは不明である。本研究では、発現ノイズと疾患の遺伝的リスクの関わりを検索することを目的とした。215人から樹立されたiPS細胞の遺伝子型および一細胞RNA-seqのデータを解析し、発現ノイズの量的形質遺伝子座(tnQTL)を4万以上も決定した。tnQTLは遺伝子発現のシス制御領域に濃縮していた。一部のtnQTLに、ヒトの精神疾患の遺伝的リスクと直接的な因果関係が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでのゲノムワイド関連解析によって、疾患の遺伝的リスクに関わるゲノムの多型が数多く見出されてきた。しかし、遺伝的リスクにつながる多型の大半は、遺伝子発現の量的形質遺伝子座(eQTL)ではないため、機能的に解釈できる多型は多くない。本研究の成果に基づき、発現ノイズの変化という新しい観点から多型と遺伝的リスクの関わりを機能的に解釈し、様々な疾患の分子病態を深く理解していけると考えられる。また、本研究にて同定したtnQTLは、発現ノイズの制御機構の理解にも役立てられる。
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