研究課題
若手研究
順天堂医院および順天堂越谷病院では「双極性障害治療立て直し入院」を行っている。これは、2週間の入院期間中に各種検査(脳脊髄液検査、脳画像検査、脳波検査、内分泌検査、構造化面接、認知機能検査、心理検査等)を行うことにより、診断・治療の見直しを行うものである。本研究では、本入院を利用する50歳以上の双極性障害患者100名を対象として双極性障害における軽度認知障害の病態解明を目的とし、「のちに認知症になる患者は気分症状のみが出現している時期に、既に脳脊髄液中のt-tau、p-tau、Aβが上昇している」との仮説を立て、その実証に向けて、脳脊髄液解析、神経心理学的解析、画像解析による調査を実施する。
本研究は「高齢者の双極性障害における軽度認知障害の病態解明」を目的としている。認知症において、tauやAβの重要性は広く認識されているが、双極性障害患者についての認知症前駆状態におけるtauやAβに関する報告は国内外で確認されていない。そこで本研究では、双極性障害の段階での認知症前駆状態期における、脳脊髄液中のtauやAβ測定の重要性に着目し、高齢双極性障害患者の脳脊髄液中のt-tau、p-tau、Aβに焦点を当て、より早期に双極性障害患者における認知機能低下のメカニズムを解明することを目的としている。本邦では統合失調症やうつ病における長期間追跡調査がさかんに行われている一方、双極性障害の認知機能を縦断的に長期間追跡した研究は未だない。そこで、本研究では双極性障害患者における認知機能低下のメカニズムを解明するため、研究期間中に「入院患者をリクルートし、入院時点での双極性障害の病期と認知機能を評価」「入院患者の脳脊髄液と脳画像を組み合わせて認知機能を評価」する。さらに、これら結果の統合的な統計解析および、エントリー患者の追跡調査を計画している。ゆえに、本研究の目的達成には、多くの患者の協力とできる限り長期間の追跡調査が必要である。より多くの患者をリクルートすることを主眼に、今年度は新たに東京慈恵会医科大学精神神経科のグループへ協力を要請し、患者リクルート体制を構築した。目下、順天堂大学医学部附属順天堂医院、順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院、順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター、順天堂大学医学部附属浦安病院および東京慈恵会医科大学附属病院、東京慈恵会医科大学附属第三病院において対象患者をリクルート中である。
4: 遅れている
当初予定よりも研究参加人数が伸びていない。このため、より多くの患者をリクルートすることを主眼に、今年度新たに東京慈恵会医科大学精神神経科のグループへ研究への協力を依頼した。現在は、大学倫理委員会の承認を得た上で、新たに構築した患者リクルート体制で対象患者のリクルートを開始している。
今年度新たに構築した研究体制により、引き続き対象患者の研究参加を募り、データを蓄積していく予定である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)
Medicine
巻: 103 号: 1 ページ: e36217-e36217
10.1097/md.0000000000036217
Sleep Medicine: X
巻: 5 ページ: 100070-100070
10.1016/j.sleepx.2023.100070