研究課題/領域番号 |
22K15805
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
山下 一太 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任准教授 (90838715)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 医療被曝 / CT / 散乱線 / 直接線 / 放射線被曝 / 臓器被曝 |
研究開始時の研究の概要 |
現代の医学において欠かすことができないCT検査であるが、患者の被曝量は非常に大きく、発癌や白内障などの悪影響が懸念される。 CTによる人体の各臓器への被曝線量を直接的に測定することは倫理上不可能で、人体に模したファントムを用いた架空の被曝量を測定することしかできないのが現状であり、正確な各臓器の被曝量は一切分かっていない。CT撮影する頻度が突出している日本国内での患者の医療被曝量は非常に大きいと予想され、懸念されるところである。これまで不可能であった、CT撮影に伴う患者の各臓器の被曝量を、専用施設内で新鮮未固定遺体を用いることで正確に測定し、検証する。また被曝量低減のための手段を講じ、検討する。
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研究実績の概要 |
2023年度もCOVID-19の影響で、患者さんの献体数は未だ少なく、医学部学生の解剖実習用の御遺体確保の必要性のため、研究用の御遺体の確保が困難な状況が継続している。 そのため、新たな計測・検証ができない状況が続いている。 代替案として、ファントム(研究用の人体模型:アクリル樹脂製)を用いた検証を行った。 。ファントムの各臓器(大脳、水晶体、甲状腺、性腺、皮膚など)にOSL 線量計を埋没した後、CT撮影を施行した(SOMATOM Emotion SIEMENS 16列)。CTは実臨床に則した形で、全身CT(130kV, 100mAs)を撮影した。撮影後、各線量計を摘出して専用の測定機(microSTAR,長瀬Landauer)を用いて計測した。結果は以下の通りである。CT撮影による各臓器の医療被曝量の平均値は、全身CTで大脳17.5mGy、水晶体16.1mGy、甲状腺26.6mGy、性腺23.3mGy、臍部皮膚17.9mGyであった。 これは、昨年度に1体の御遺体を用いて同じ条件で計測した結果と比較して、全体的に臓器被曝量が高い傾向があった。ファントムはその組成が人体とは大きく異なり、体内で放射線の散乱がより強くなったためと考察している。これまでのファントムスタディと比べて、人体の組成そのままの未固定遺体での検証の重要性を再確認できたという意味で、今年度のファントムでの検証は意義深いと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの蔓延による影響で、コロナ禍、献体数が極端に少なく、研究用の未固定遺体の確保が非常に困難であった。アフターコロナとなり、いくらか献体数が増加傾向であるが、医学部学生の解剖実習用の御遺体確保のため、研究用の御遺体の確保は引き続き困難な状態が継続している。以上により、遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
上記の理由のため、今年度は代替案としてファントムをもちいた臓器別被曝を計測したが、本研究は未固定遺体でこそ、正確な臓器被曝が測定できるということが最大のStrong pointであることは変わらない。 徳島県白菊会に確認し、2024年度は研究用の御遺体が確保できる見込みが立ったので、研究を継続していきたい。
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