研究課題/領域番号 |
22K15810
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
三阪 知史 近畿大学, 奈良病院, 技術職員 (80938168)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | MRI / R2* / PDFF / アロマターゼ阻害薬 / 圧縮センシング / 乳がん / 脂肪定量 / 骨粗鬆症 / 腰椎 |
研究開始時の研究の概要 |
アロマターゼ阻害薬(AI剤)は、ホルモン受容体陽性乳がんに対する内分泌治療として重要な位置づけとなっている。しかしAI剤は骨粗鬆症の発症に密接に関わっているため、治療患者は骨密度の評価を定期的におこなう必要がある。骨塩定量装置を用いた骨密度の測定は骨粗鬆症診断における標準的な評価法であるが、必ず放射線被ばくを伴うことが問題である。 近年MRIでは定量化技術が発展し、組織内の脂肪含有率を測定することができるようになった。そこで本研究の目的は、MRIで測定した腰椎の骨髄脂肪含有率によって、ホルモン受容体陽性乳がん患者の骨粗鬆症診断や発症予測ができるかを明らかにし、新しい評価法を確立することである。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、MRIで測定した腰椎の骨髄脂肪含有率によって、ホルモン受容体陽性乳がん患者の骨粗鬆症診断や発症予測ができるかを明らかにし、新しい評価法を確立することである。 2023年度はアロマターゼ阻害薬を使用している乳がん術後患者に対してChemical shift-encoded MRI (CSE-MRI)を撮像し、脂肪含有率(proton density fat fraction: PDFF)およびR2*を用いて骨粗鬆症が評価できるかを検討した。骨粗鬆症の評価は現在DXA法が標準的診断方法であるが、DXA法は診断用X線を用いるため、放射線被ばくのない新たな診断方法であるCSE-MRIが有用であるか検討した。検証の結果、PDFFを用いた場合には骨粗鬆症の診断能は低く、area under the curve (AUC)が0.59であった。しかしR2*を用いた場合、骨粗鬆症に対するAUCは0.66であった。さらにtrabecular bone score (TBS) の値が低く(つまり骨質が悪く)骨折のリスクが高い骨粗鬆症患者はそれ以外の患者と比較してPDFFが有意に高く、AUCは0.75であった。またR2*は有意に低く、AUCは0.82であった。そして解析者間および解析者内の測定の一致度も非常に高かった。R2*を用いて乳がん術後患者の骨粗鬆症を診断することや骨折リスクの高い骨粗鬆症を同定することは過去に報告されておらず、有用な研究結果を得ることができた。MRIを用いた骨粗鬆症診断の一助となることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
設定した目標症例を達成することに時間がかかった。現在は必要な症例データを得ることができているが、データの解析および論文化が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の成果として、CSE-MRIによる腰椎のR2*を用いることで、アロマターゼ阻害薬を使用しているホルモン受容体陽性乳がん患者における骨折リスクの高い骨粗鬆症を精度良く同定できることを明らかにした。2024年度はホルモン受容体陽性乳がん患者におけるR2*値と骨密度の経時的変化を比較することで、DXA法よりも早期に骨粗鬆症を診断することができるかを明らかにする。
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