研究課題/領域番号 |
22K15812
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
中市 徹 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 医学物理士 (10935787)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 放射線治療CT / デュアルエナジーCT / 放射線治療計画 / 放射線治療 / 放射線治療計画CT / デュアルエナジー / 線量誤差 / 他施設共同研究 |
研究開始時の研究の概要 |
放射線治療(RT)では体内の組織の放射線量を推定するために、CT画像を用いたRT計画を行いX線の挙動を計算している。X線の挙動を推定するためには体内の電子密度を知る必要があり、既知の電子密度を有する模擬構造体をCT撮像し、CT値と電子密度の関係の紐づけを行っている。しかしながら、人体のCT画像は体内金属などの影響により、画像上にアーチファクト(AF)というエラーを生じ、CT値の誤差を生ずる場合がある。本研究では既知の電子密度を有する人体模擬構造物を作成し、AFが生じた場合の線量誤差を明らかにする。又、最新のCT装置に搭載されているAF低減法を利用し線量誤差改善度を評価する。
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研究実績の概要 |
本研究では、放射線治療において放射線治療計画を作成する際に必要となるCT画像に起因する投与線量の不確かさを定量するため、既知の電子密度を有し、体内のCT値に類似した人体模擬ファントムを作成し、再構成による影響や各種アーチファクト抑制方法(ビームハードニング、金属アーチファクト)を相対的に比較評価する事を目的としている。具体的には、治療計画装置を用いて既知のCT値で上書きした画像を理想的な画像とし、各種再構成法によるCT値の誤差が治療計画で得られる線量分布に及ぼす影響を、骨盤部に該当する疾患を模擬した放射線治療計画を作成し腫瘍及びリスク臓器に対して評価する。先行研究では電子密度の調整に焦点を当て、CT値は考慮していなかったため、電子密度とCT値の調整法に関して理論的な見直しが必要となった。論文の再調査及び有識者にヒアリングを行い、理論的な再構築を行っている。そのためファントムの開発に関してはデザイン案を作成したものの発注には至っていない。金属アーチファクトを再現するために、骨盤部放射線治療で問題となる人工骨頭の物質の選定を行うため、メーカーとミーティングを行い、選定作業を進めた。同時に、使用する金属の形状に合わせてファントムデザインの見直しも行った。 又、本研究は各メーカーによる画像再構成の影響を比較するため、多施設のCT装置を用いて同様の解析を行い相対的な比較評価を行う。各CT装置で出力可能な再構成画像及び調整が必要な再構成パラメータが異なるため、協力施設に対して何度かヒアリングを行い比較対象として使用する画像再構成法の選定及び再構成パラメータの調整を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CT画像を使用する放射線治療計画においてはCT値-電子密度変換表を基にCT値から電子密度変換を行うため、既知の電子密度を有し、体内のCT値に類似した物質が必要となる。本研究の根幹となる電子密度とCT値の調整法に関して理論的な見直しが必要となったため、論文の再調査及び有識者にヒアリングを行い、理論的な再構築を行っている。そのためファントムの開発に関してはデザイン案を作成したものの発注には至っていない。しかしながら、電子密度とCT値の同時調整法自体に新規性があるため、基礎実験の結果次第で報告を行う予定である。 多施設のCT装置を用いて同様のCTアーチファクト改善を目的とした再構成法における影響を評価するためにヒアリング及び再構成法の調整が必要であったが、こちらは概ね順調に調整が進んでいる。但し、上記の実験に先行して調査する事は不可能であるため、早急に基礎実験を遂行する。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策としては、本年度は再構築した理論をもとに電子密度調整のための溶液とCT値を調整する造影剤をもとに人体等価な電子密度及びCT値を有する溶液の基礎的検討を行う。骨盤部を模擬したファントムを作成し、まずは国立がん研究センター東病院のCT装置を用いて各種再構成法(AI再構成、ビームハードニング抑制、金属アーチファクト抑制)の影響を定量化し評価を行う。ファントムを作成後骨盤部に該当する放射線治療計画を作成し、理想的な線量分布を各種再構成法で得られた画像を用いた線量分布の差分評価を行う。加えて、疑似腫瘍部位・リスク臓器等の線量を詳細に比較を行う。 本年度もしくは次年度以降に他施設におけるCT装置に対しても同様の評価を行い、同様のアーチファクト抑制効果を有する再構成法におけるCT値に起因する不確かさの定量を行う。
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