研究課題/領域番号 |
22K15823
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
齋藤 正英 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (80790427)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 放射線治療 / IGRT / SGRT / 深度センサ / 呼吸性移動対策 / ファントム / 画像誘導放射線治療 / 体表モニター |
研究開始時の研究の概要 |
近年、放射線治療の分野において、体表面の位置照合に基づく画像誘導放射線治療(SGRT)が実施され始めた。これを使用することで従来から実施してきた患者体表のマーキングを省略可能になるなど、低侵襲かつ高精度な放射線治療が実施可能となっている。本研究ではこの技術をより普及させるために、小型深度カメラを用いた新規SGRT手法の開発を目指す。本手法の開発により、放射線治療室以外でも高精度なSGRTが提供可能となったり、従来よりも高精度な呼吸性移動対策が可能になる可能性があるため、がん患者がこれまで以上に安心して高精度放射線治療を受けることが可能になる。
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研究実績の概要 |
本研究では小型深度カメラを用いた新規Surface-guided radiotehrapy (以下SGRT)の手法を開発することを目的とした。他分野で汎用されている小型の深度カメラに着目し、患者に極近接した位置で設置可能な深度カメラ取付用器具と体表位置情報、変位情報、および深度情報に基づく呼吸波形が取得可能なソフトウェアを開発し、ファントムや健常ボランティアによる種々のSGRT検証を実施する。本手法の開発により、治療室以外でも高精度なSGRTが提供可能となり、患者個々の事前のSGRTの適応可否の判断や事前練習、また、従来よりも高精度な呼吸性移動対策が可能になる、といった点から、臨床的価値の非常に高い研究となりうる。 初年度は小型カメラの選定とSGRT用ファントムの開発を実施した。小型カメラについては複数の種類について検証を実施し、使用に耐えるスペック(検出精度1mm程度)のものを1種類選定し今後それをもとにソフトウェアを開発していく方針となっていたが、2年目終了の段階においても継続してソフトウェアの開発中である。 SGRT用ファントムについては、初年度に頭部、胸部それぞれでEnd-to-End試験が可能な個体ファントムと、2駆動系が3軸動作可能なSGRT対応ファントムを開発した。2年目は前者のファントムを用いて、当院設置の体表面画像誘導放射線治療機で実際にEnd-to-end試験を実施し、良好な結果を得た。これについては学会発表と論文化を実施した。今後はこのファントムを使用して関連した研究をさらに促進させていく予定である。また後者のファントムについても気管支追尾法への関連研究に使用し成果を論文化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目は小型カメラのソフトウェア開発の継続とSGRT用ファントムを用いた種々の検討を実施した。小型カメラについては複数の種類について検証を実施し、使用に耐えるスペック(検出精度1mm程度)のものを1種類選定し、ソフトウェア構築を継続して実施している。この開発については、検証も含めて複数年を有することが予想されており、ここまではおおむね順調に進展していると考える。 SGRT用ファントムについては前年度に開発したファントムを使用し、当院に既に設置してある体表面画像誘導放射線治療機を用いて頭部、胸部それぞれでEnd-to-End試験を実施し、ファントムの使用方法の確立と良好な精度結果(1mm/1°以内)について論文化を実施した。また、動体ファントムについても気管支追尾法の検証へ応用し論文化を実施した。2年目はファントムを用いた実際の検証をスムーズに実施することができ、順調な研究進捗を見せていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
これまでと同様、今後はSGRT用ソフトウェアのベースを作成することを当面の目的とする。ソフトウェアの開発に必要なPC、周囲環境等はほとんどそろってはいるが、それらを見直し整備した後、これまでに作成したSGRT用ファントムを用いてソフトウェアの評価を適宜実施し、必要に応じてソフトウェアの改良を行っていく。さらにその後は、健常ボランティアに協力してもらい、小型深度センサを用いたSGRTの検証を実施していく予定である。 開発したファントムについては、さらに派生研究ができないかを模索していく。
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