研究課題/領域番号 |
22K15830
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
|
研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
羽場 友信 藤田医科大学, 医療科学部, 講師 (00810748)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
|
キーワード | フォトンカウンティング / 実効原子番号画像 / モンテカルロシミュレーション / CNR / 乳房X線撮影 / 乳がん |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、乳がん検出率を向上させる新たな乳がん診断画像の開発である。 乳がん検出率を向上させる解決策の一つとして、申請者はフォトンカウンティング技術に着目した。 フォトンカウンティング型X線検出器を用いた実効原子番号画像(定量的な画像)や高コントラスト画像の生成が実現できれば、乳がんの早期発見・早期治療に大きく貢献できる。 フォトンカウンティング技術を乳房X線撮影検査にて実現するために、本研究では①解析手法の開発、②独自の画像処理の考案、③臨床評価などの解決すべき課題に取り組む。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、フォトンカウンティング技術を利用した新たな乳がん診断画像の開発である。フォトンカウンティング型X線検出器を用いることで実効原子番号画像(定量的な画像)や高コントラスト画像を生成することができ、乳がんの早期発見・早期治療に大きく貢献できる可能性がある。 上記の目標を達成するために、本研究では①解析手法の開発、②独自の画像処理の考案、③臨床評価のステップで解決すべき課題に取り組んでいる。現時点で「①解析手法の開発」「②独自の画像処理の考案」が完了している。 「①解析手法の開発」については、フォトンカウンティング技術を用いて実効原子番号画像を生成する際に重要となる、適切なエネルギー帯域(しきい値)の設定方法を明らかにした。この問題を解決するために、昨年度実施したモンテカルロシミュレーションによるアプローチに加えて、ポアソンノイズに基づいた理論統計による処理を用いることで、実効原子番号をさらに精度よく推定することが可能となった。導出された適切なしきい値の範囲は31~36keVであり、被写体への入射光子数を10^5とした際には実効原子番号を±0.7の精度で推定することが可能である。さらに、本結果を踏まえて実測へと展開し、乳腺密度を±0.2の精度で定量的に評価することが可能となった。 「②独自の画像処理の考案」については、高コントラスト画像を生成するための最適な重み付け係数を決定した。CT撮影領域では、フォトンカウンティング技術において、各エネルギーbin画像に重み付けをすることで画像のコントラスト(CNR)を向上させる技術が考案されている。我々は、この技術をX線撮影領域(乳房撮影)に拡大した。導出された適切な重み付け処理を施すことで、CNRを約16%向上することが可能となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では「①解析手法の開発」「②独自の画像処理の考案」「③臨床評価」の3つのステップで解決すべき課題に取り組んでいる。 2023年度は当初の予定通り「①解析手法の開発」「②独自の画像処理の考案」まで完了した。 「①解析手法の開発」については、本研究成果を第80回日本放射線技術学会総会学術大会(2024年4月)にて報告し、学会賞を受賞した。また、査読付き英語学術論文として投稿中である。 「②独自の画像処理の考案」については、査読付き英語学術論文として投稿準備中である。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の今後の推進方策について、2024年度には「③臨床評価」について取り組む予定である。 現在、51例の乳房検体の撮影データを保有している。2023年度までに確立した技術を用いて、フォトンカウンティング技術を用いた乳がん診断画像の評価を進める予定である。具体的には、従来のマンモグラフィ検査では判別が難しい、高濃度乳房内の乳がんの検出、及び、石灰化の内部構造の把握の評価に取り組む。
|