研究課題/領域番号 |
22K15838
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
和田 優貴 秋田大学, 医学系研究科, 講師 (20748280)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | Dual-energy CT / 骨転移 / 緩和的放射線治療 / 緩和照射 / Radiomics / dual-energy CT / 緩和放射線治療 |
研究開始時の研究の概要 |
癌の骨転移による疼痛には放射線治療が有効である。しかし、期待した効果が得られない可能性や、照射導入時期を判断する客観的指標が未確立である等の課題がある。 Dual-energy CT装置は2種類の電圧を用いてCT撮影を行うことで、任意の部位のカルシウム(Ca)やハイドロキシアパタイト(HAP)の物質密度を推定することが可能である。本研究ではdual-energy CT技術を緩和放射線治療に応用することで、骨転移部のCa/HAP密度変化に基づいた放射線治療の効果予測モデルや治療導入時期の客観的指標を確立し、より有効な骨転移に対する放射線治療手法の開発を目的とする。
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研究実績の概要 |
転移性骨腫瘍による疼痛に対する緩和的放射線治療の有効性と安全性は多くの研究報告で示されているが、課題として、①照射を行っても2-3割の患者では期待した疼痛緩和が得られない、②疼痛が強い場合はMRI/FDG-PET検査など病巣の検出感度に優れるが検査時間が長い精査を実施できずに照射範囲の設定に難渋する、③照射を行う時期の指標として自覚症状以外の客観的な基準が定まっていないことがある。Dual-energy CT(DECT)は2種類の異なる電圧でCT撮影を行うことで、吸収値の違いから物質密度や実効元素を推定可能な撮影技術であり、骨内のカルシウムやハイドロキシアパタイトの物質密度を非侵襲的に推定することが可能である。本研究では、骨転移に対する緩和的放射線治療にDECT技術を応用することで、CT画像での骨転移範囲の高精度な識別、効果予測因子の解明、および、画像所見に基づく照射導入時期の客観的指標の確立を目的としている。 2023年度は脊椎転移症例の浸潤範囲の検出について、現在の骨転移診断において最も精度が高いMRI所見をゴールデンスタンダードとして、通常のCT画像およびDECT画像の感度・特異度を検討した。具体的には、当院で放射線治療を施行した脊椎転移症例のうち、MRI・CT・DECTが実施されていた症例を対象として、放射線診断医1名、放射線治療専門医3名が個々に、MRI・CT・DECT各々で脊椎転移の浸潤範囲を評価した。各人の評価結果を、同一評価者内でのMRI‐CTとMRI‐DECTの一致率、および、放射線診断医の評価と放射線治療医の評価との一致率を解析した。結果、CTよりもDECTにおいて有意にMRI所見、および、放射線診断医の所見と一致率が高かった(2024年の欧州放射線腫瘍学会で発表)。 今後、非脊椎転移での評価、および、DECT所見から放射線治療の効果を予測する手法を探索する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年7月の秋田豪雨で自宅が床上浸水し、同年7月~12月までの約半年は自宅修繕等の対応のため十分な研究時間を設けることができず、研究計画に半年の遅れが生じている。 脊椎転移症例におけるDual-energy CTの検出能に関しては、データ収集が2023年6月に終了しており、2024年5月の欧州放射線腫瘍学会(ESTRO2024)で発表した。 非脊椎転移症例におけるDual-energy CTの検出能は、予定では2023年秋にデータ収集を終了している見込みであったが、上述の理由のためデータ収集に約半年の遅れが生じている。 2024年度は非脊椎転移症例のデータ収集を早急に終了させ、次いで、脊椎転移症例と非脊椎転移症例における治療効果を予測するためのDual-energy CTの画像所見の解析(Radiomics解析)を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究進捗が遅れている理由は、前項の通り、自然災害のために2023年度は充分な研究時間を設けることができなかったことである。評価対象、データ解析など研究手法に関しては問題は生じていない。 データ収集の手順や評価方法、解析方法は脊椎転移症例での検討で確認済みであるため、非脊椎転移症例においても検査画像と臨床情報の収集が完了すれば、速やかにデータ処理・統計解析が可能と想定している。 Dual-energy CTを用いた放射線治療の効果予測(Radiomics解析)に関しては、前述の非脊椎転移の画像収集と併行して解析用の画像前処理(アノテーション)を行うことで、その後の画像解析を効率的に進められるように工夫する。
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