研究課題/領域番号 |
22K15863
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
杉山 将隆 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (40724844)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 動脈硬化 / 腹部大動脈 / 動脈瘤 / 4D Flow |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では4D-Flowを駆使して非拡張の腹部大動脈における壁の動脈硬化性変化と血行動態異常の関連について究明し、腹部大動脈瘤発生の誘因となる血行動態の異常を突き止めることを目標とする。 腹部大動脈径の狭窄や拡張が存在しない成人患者を対象とし、撮影された4D-Flowデータより血行動態を解析する。腹部大動脈を模した流路のファントームスタディやCFDによる血流シミュレーションも施行し4D-Flowの結果の検証を行う。動脈硬化性変化の程度を層別化し、4D-Flowより得られた異常な血行動態の指標との相関を統計学的に検討する。また血液生化学的検査所見や理学所見も含めて相関係数を計算し検定を行う。
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研究実績の概要 |
腹部大動脈瘤(AAA)の発生・増悪に寄与する特徴的な血行力学的な因子について調査するため、AAA患者群と大動脈が拡張していないコントロール群に対して4D-Flowを撮影し、血行動態の解析を行った。解析の結果、腹部大動脈の特徴的な血行動態として、収縮末期から拡張初期の間の腸骨動脈からの反射波と考えられる逆流成分が検出された。またこれらの逆流成分が腹腔動脈、上腸間膜動脈、腎動脈などの腹部臓器動脈に吸収され、腹腔動脈上の大動脈では反射成分が乏しいことが分かった。また、非拡張の腹部大動脈内では層流が比較的支配的であったのに対して、拡張した腹部大動脈内には渦度・らせん度の高い流れが生じていることが分かった。これらの血行動態が動脈壁にかかる力学的な統一性を撹乱し、内皮の脆弱化を生じ動脈硬化性変化を進行させている可能性がある。 上記のように、腹部大動脈に特徴的な逆流成分の血液の行先として、腹部臓器動脈に流れ込んでいる可能性が考えられた。このため、腹部臓器動脈とAAAの特徴的な血行動態との関わりを見るために、AAA患者とコントロール患者の上腸間膜動脈(SMA)の血流量を比較し、血流量を評価した。結果、AAA患者のSMAでは、拡張期に有意に低い血流量が観察された。AAAではコンプライアンスの低下により、拡張期に内臓臓器動脈への効率的な血液供給が阻害されていた可能性がある。 この結果は、2022年度ヨーロッパ腹部放射線学会にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
AAA患者群、非拡張腹部大動脈のコントロール群の4D-Flowデータの蓄積を得られたため、患者群とコントロール群の血行動態の比較を行うことができた。 しかし、研究計画では1年目に腹部大動脈瘤や蛇行した腹部大動脈の形状を模したファントームを用いて4D-Flowを撮影する計画であったが、研究代表者が病気で長期休暇を要したため、これらのファントムスタディーについては後れを生じ、まだ実施ができていない。
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今後の研究の推進方策 |
AAAの特徴的な血行動態を探索するにあたり、AAAに対するステント挿入術前後に4D-Flowを撮像、エネルギー損失の差の計算・比較を名古屋大学と共同研究機関である浜松医科大学で行った。しかし、施設間で術後エネルギー損失の増減が、名古屋大学症例では増加、浜松医科大学症例では低下と相反する結果となった。それぞれの施設は異なるメーカーの撮像機を使用しており、これらが採用する4D-Flowシーケンスの違いがエネルギー損失に差異を生じている可能性がある。また使用するステントの材質・径の違いや血液の粘調度の変化なども結果の剥離の原因の可能性がある。 4D-Flowによる血行動態の正確な解析のためには、これらの事象についてさらなる研究を要する。解明のためにステントグラフトを挿入した腹部大動脈瘤のファントーム実験を行い、検証を行う予定である。
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