研究課題/領域番号 |
22K15869
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
檜垣 篤 川崎医科大学, 医学部, 講師 (90454850)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 4D Flow MRI / Liver cirrhosi / Hepatic morphology / Portal hemodynamics / Portal hypertension / Esophageal varices / 4D-Flow MRI / 門脈系血行動態 / 肝硬変 / 肝線維化 / 慢性肝疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性肝疾患の診療において、肝線維化の進行度と門脈系の血行動態の変化は生命予後と関連する重要な指標である。肝臓の線維化が進行すると、特徴的な肝臓の形態変化が見られるようになり、門脈圧が亢進することで門脈系と体循環系の静脈との吻合枝が拡張し、側副血行路を形成するが、このメカニズムの詳細は解明されていない。近年、非造影MRIにおいて血液の動態観察を可能とする3次元シネ(連続)位相コントラスト磁気共鳴画像法(以下4D-Flow)が開発された。本研究の目的はこの4D-Flowの技術を用いて、肝線維化の進行度と形態変化、門脈系血行動態の変化との関連性を明らかにすることである。
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研究実績の概要 |
本研究は、以下の2つの課題に取り組んでいる。1)肝硬変:4D Flow MRIを用いた線維化に関連する肝形態学的変化と門脈血流動力学との関連性、2)非侵襲的4D Flow MRIを用いた左胃静脈および奇静脈の直接評価による食道静脈瘤出血リスクの層別化。現在、課題1が完了し、論文として報告した。課題2は進行中である。 課題1の研究では、肝硬変による肝臓の形態変化と門脈血流動態の関連性を明らかにすることを目的とし、100名の患者を対象に4D Flow MRIを用いた検査を行った。線維化の重症度に基づき、患者を正常(A)、軽度から中等度(B)、重度(C)の3つのグループに分類。右門脈(RPV)および左門脈(LPV)の血流動態を定量的に評価し、グループ間で比較した。結果として、RPVの面積が線維化の進行に伴って漸減し、血流量が線維化初期段階で減少することが示された。また、LPVの血流量が線維化の進行に伴って漸増することが明らかとなった。この研究は、肝硬変に伴う血流動態の変化を理解する上で重要な知見を提供し、肝硬変における形態学的変化のメカニズムの一つが明らかになった。 課題2の研究では、肝硬変の重篤な合併症である食道静脈瘤の出血リスク層別化を目指して、4D Flow MRIを用いた左胃静脈および奇静脈の直接的血流評価を行っている。これまでの方法では、非侵襲的にこれらの血管の評価することが困難であったため、本研究は大きな意義を持つと考えられる。現在、35名の患者を対象とした解析が行っており、結果の解釈と統計処理が進めている。目標症例数は50例程度であり、概ね順調に進行している。 今後、課題2の結果が得られ次第、食道静脈瘤出血リスクの層別化に役立つ非侵襲的な診断法の開発につなげていく予定である。本研究は、肝硬変患者の診断および治療に大きく寄与することが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの進捗状況は概ね順調に進行していると考えられる理由は以下の通りである。まず、課題1において、研究の目的であった肝硬変に伴う肝臓の形態変化と門脈血流動態の関連性の解明が達成され、論文として報告された。これにより、課題1の研究成果が確立されたことが示される。また、課題2に関しても、既に35例の患者データが収集され、分析が進められている。目標症例数である50例に達するまで、あと15例のデータが必要であるが、これまでの収集ペースを考慮すると、今後も引き続きデータ収集が順調に進むと期待される。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策は以下のように考えられる。まず、課題2において、残りの15例の患者データを効率的に収集するため、研究対象となる患者の適切なスクリーニングや選定を行うことが重要である。さらに、データ収集が完了次第、統計解析や検討を迅速に行い、研究成果をまとめる。その際、研究グループ内で定期的に進捗状況を共有し、問題点や改善策について議論することで、研究の質を向上させる。また、今後の学会発表や論文発表に向けて、研究成果を効果的に伝えるプレゼンテーション資料や論文の作成を行う。適切な学会や雑誌を選定し、研究成果を発表し広く共有することで、今後の肝臓疾患の診断や治療に関する研究発展に貢献することが期待される。
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