研究課題/領域番号 |
22K15872
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
飯島 康太郎 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医学物理士 (50792909)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ゲル線量計 / 生物物理線量一体評価 / 放射線治療 / 品質管理 / 品質保証 / 生物物理放射線量一体評価 |
研究開始時の研究の概要 |
人体組織への放射線影響を計算する際には、関心のある組織毎にこの影響度合いを考慮した係数が割り当てられる。しかし、これらのほとんどは臨床的データから得られた結果である。このような放射線細胞影響を確実に調査するには細胞に既知の放射線を照射する方法が一般的であるが、従来の方法では1次元測定しかできない。一方、人体における放射線と細胞の反応は3次元的である。このことから現状の計測方法は実際の放射線と細胞の反応機序を再現していないため、得られた結果には大きな誤差を含んでいる。我々は固体線量計である3次元ゲル線量計に細胞を混合し、任意の細胞の3次元生物/物理線量計測が可能なシステムの開発と基礎検証を行う。
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研究実績の概要 |
本年においては、まず細胞を閉じ込めるカプセルの作成に成功した。この細胞カプセルの技術は本研究の根本的な部分であるため、非常に重要な成果である。細胞カプセルはアルギン酸カルシウムを主としたカプセルであり、これを毒性の高いゲル線量計の中に配置し、放射線を照射しカプセル形状を維持したまま取り出すのが本研究の最初の目標となる。今後は細胞カプセル内への劇物侵入による細胞死の有無や、細胞カプセルの安定した製作、またゲル線量計中に問題なく配置できることを確認する必要がある。 次に独自のシステムによる光学CT装置の基礎開発が終了した。光学CT装置はゲル線量計の放射線量分布と細胞カプセル位置の同定に使用するが、このような装置は市販では存在しないため開発が必要である。今年度は基礎部分の開発に取り組み、光学CT装置として使用できるところまで開発が終了している。今後は開発した光学CT装置の基礎特性などを取得し、システム全体の評価を行う。また細胞をカウントできるまでの空間分解能を得られるか検討が必要である。当初の予定では基礎特性評価まで終えている予定であったが、想定よりも多くの課題があったため、予定よりも進捗は遅れている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
開発が進むにつれて想定よりも多くの課題が発生した。まず、ゲル線量計内で形状を維持できる細胞カプセルを安定して作れるようにする必要がある。このためには様々な試薬の調合割合を試す必要があり、これに多くの時間を要した。また、光学CT装置においては光学的焦点の関係から、ゲル線量計全体を計測する場合と、細胞カプセルに焦点を当てて計測する場合で、光学系を分ける必要がある。1つの光学CT装置でこれを実施するために多くの試行錯誤を重ねた結果、多くの時間を費やす形となった。このため、各々の研究項目において基礎評価まで完了していない。このことから進捗状況を「やや遅れている。」とした。
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今後の研究の推進方策 |
細胞カプセルについては、今年度上半期中に細胞カプセル内への高毒性物質の侵入による細胞死がないか確認する。またゲル線量計が凝固する際の圧力による細胞カプセルの圧縮がないか確認する。これと同時に、本研究に適切な細胞カプセルの安定した作成方法を検討していく。 光学CT装置については、今年度中に高空間分解能化を進め、また同時に基礎特性評価を行う。 上記の2点解決後、ゲル線量計内に細胞カプセルを配置して放射線を照射し、線量分布の取得可能性と放射線による細胞死の観察可能性を評価するが、これについては来年度に持ち越す可能性がある。
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