研究課題/領域番号 |
22K15899
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
|
研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
若林 誉幸 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (20644735)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 急性腎障害 / 新生児仮死 / 新生仔豚 / 低酸素虚血 / 水素ガス吸入 / 腎保護 / 水素ガス / 低酸素性虚血性脳症 / 急性腎不全 / 腎保護効果 |
研究開始時の研究の概要 |
新生児低酸素性虚血性脳症(HIE)の約50~72%に合併する急性腎不全は、死亡や神経学的予後不良因子となり、生後の環境因子が加わることで慢性腎臓病発症リスクとなる。 我々はHIEに対する水素ガスの脳保護効果について報告してきたが、成人動物モデルを用いた研究では分子状水素による腎保護効果の報告もある。 本研究は新生児仮死における急性腎不全に対する水素ガスの腎保護作用を明らかにすることを目的とし、新生仔豚仮死モデルに水素ガス吸入を行い、病理組織学腎障害を評価することで腎保護効果を検証する。本研究で水素ガス吸入療法の脳保護と腎保護療戦略が確立されれば、HIE児の長期的予後改善に寄与することが期待される。
|
研究実績の概要 |
【背景・目的】新生児仮死では、30~70%に急性腎傷害が起こり、神経学的予後不良及び死亡率に影響を与えると報告されている。しかし、その病態生理及び治療法についての報告は少ない。我々はこれまでに新生仔豚仮死モデルを用いて、水素ガス吸入療法と低体温療法併用療法が低体温療法単独に比して、運動機能回復効果が高い事を報告したが、脳以外の他臓器保護効果については検討されていない。新生仔豚仮死モデルの低酸素虚血負荷後の急性腎傷害の病理組織学的特徴及び、水素ガス吸入療法の腎保護効果について検討を行った。 【方法】生後24時間以内の新生仔豚20頭を、コントロール群(C, n=6)、低酸素虚血負荷群:(HI, 無治療24時間、n=8)、低酸素負荷+水素吸入療法群(HI-H2, 2.2-2.7%水素ガス吸入24時間、n=6)の3群に分け、蘇生終了後24時間治療後、HI負荷後5日目に臓器還流後、腎皮質領域の病理学的評価を行った。 【結果】HI群は、細胞増殖を伴った糸球体腫大と、尿細管上皮細胞の腫大を伴った近位尿細管内腔の狭窄を認めた。一方、HI-H2群は、それら糸球体腫大と近位尿細管内腔狭窄の有意な軽減を認めた。 【考察・結論】HIによる尿細管内腔狭小化による尿細管内圧上昇が糸球体細胞増殖を伴う腫大を引き起こしたと考えられ、水素ガスはそれらを軽減した。水素ガスは新生児仮死における腎保護治療としても有用である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に、本研究に関する実験データ解析を終え、論文作成を行い、論文投稿中の状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、低体温療法と水素ガス吸入療法が、水素ガス吸入療法単独に比して、腎傷害軽減効果があるのかを更に検証する予定である。
|