研究課題/領域番号 |
22K15904
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 香川県立保健医療大学 |
研究代表者 |
大栗 聖由 香川県立保健医療大学, 保健医療学部, 講師 (70791078)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 急性脳症 / 熱成けいれん重積 / 急性期 / 脳波解析 / Phase lag index / Power spectrum analysis / Weighted phase lag index |
研究開始時の研究の概要 |
急性脳症は高熱とけいれん重積で発症し後遺症を高率に残す。しかし、予後良好な疾患である熱性けいれん重積との早期鑑別法は確立していない。近年私たちは、急性脳症と熱性けいれん重積患者の速波成分に着目し、機械学習を用いた自動診断法を開発しすることに成功した。本研究の成果は、後遺症が残る急性脳症患者の早期診断と予後予測を、脳波記録時にベッドサイドで行えるソフトとして脳波計に実装し、早期治療介入が期待できる。
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研究実績の概要 |
けいれん重積型(二相性)急性脳症(AESD)は、けいれん重積で発症することが多く、発症初期には頭部MRIを含めて特異的な検査所見がないため、熱性けいれん重積(PFS)との鑑別が困難である。本研究では、発症早期のAESDとFSの双極誘導における脳波をコンピュータにて定量的に解析し、発症早期において患者個々を鑑別する検査法の開発を目的とする。 全国8施設からAESD10例とPFS10例の発症後48時間以内のデジタル脳波を収集し、解析を行った(年齢9か月~9歳7か月)。1epoch/10秒の脳波解析結果の頭皮上power mapを患者毎に10個作成し、機械学習用データと検証用データとして使用した。学習データと検証用データの比率は85:15としてランダムに使用した.検証は,Delta,Theta,Alpha,Beta,Gamma各周波数帯域における鑑別精度を5回測定し,その平均値を結果として使用した。鑑別精度は、(正しく鑑別された検証データ数)/(検証データの総数)×100の式を用いて算出した。次に,2つの周波数帯域画像を機械学習に組み込んだ場合の鑑別精度についても検討を行った。本研究は香川県立保健医療大学および鳥取大学の倫理審査委員会にて承認を得ている(受付番号:295) 各周波数帯域の平均鑑別精度は、Delta周波数帯域84.2%、Theta周波数90.4%、Alpha周波数95.2%、Beta周波数98.6%、Gamma周波数帯域96.6%であり、Beta周波数で最もが鑑別精度が高値を示した。各周波数帯域を2つ組み合わせた検討については,DeltaとBeta周波数帯域を組み合わせた場合に平均鑑別精度99.3%と最も高値を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
発症後48時間以内(けいれん重積型(二相性)急性脳症(AESD)にて画像異常が認められない時期)の脳波データを収集し、脳波解析であるpower spectrum解析とphase lag indexを行い、計測データの収集を行えている。本年度は、power spectrum解析の解析mapを使用して、機械学習によるAESDと熱性けいれん重積(PFS)の鑑別を行った。 その結果、各周波数帯域の平均鑑別精度については,Beta周波数帯における平均鑑別精度が98.6%と最も高値を示した.各周波数帯域を2つ組み合わせた検討については,DeltaとBeta周波数帯域を組み合わせた場合に平均鑑別精度99.3%と最も鑑別精度が高い結果となった. 今回の検討ではAESD10例とPFS10例の脳波データから、各症例10個のpower spectrum解析mapを収集し、機械学習に使用した。令和5年度の検討では全データ200個を用いた検討であった。令和6年度は、機械学習の鑑別精度を向上させるために使用データを増加して検討予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は,まだ未解析である症例に対して検討を進めるとともに、けいれん重積型(二相性)急性脳症(AESD)と熱性けいれん重積(PFS)を自動で判別する自動判別システムの開発を行っていく。具体的には,AESDおよびPFS全症例のpower spectrum解析とphase lag indexの解析を行い、その解析結果を機械学習により自動で判別可能か検討を行う。 機械学習では、k近傍法やサポートベクターマシーンなど、さまざまなアルゴリズムを用いてAESDとPFSの自動判別法の開発を行う。その結果、最も判別精度が高いアルゴリズムを採用する。 また、新規に収集したAESDおよびPFSの症例を用いて、開発した自動判別法の前向き検討を行う予定である。機械学習にてすでに解析済みの結果を教師データとして使用し、新規に収取したデータを用いて個々の症例に対する自動判別結果の正誤判定を行う予定である。
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