研究課題/領域番号 |
22K15910
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
曳野 圭子 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 特別研究員 (10789580)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 難治性ネフローゼ症候群 / リツキシマブ / 有害薬物反応 / 低ガンマグロブリン血症 / 無顆粒球症 / ファーマコゲノミクス |
研究開始時の研究の概要 |
小児期発症難治性ネフローゼ症候群に対し、抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブが有効である。一方、投与後に重症低ガンマグロブリン血症、無顆粒球症を発症し、感染症の反復や感染症の重症化を合併し、ガンマグロブリン製剤の定期投与や抗菌薬の予防的投与を余儀なくされる患者が存在する。しかし、リツキシマブに関する薬理遺伝学的研究はエビデンスが足りておらず、無顆粒球症に関しては本薬剤では検討されていない。本研究では、網羅的に薬理遺伝学的情報を探索し、ネフローゼ症候群に関連するポリジェニックな因子が副作用の発症に寄与する可能性を考慮し、副作用に関連する遺伝要因を有する患者のリスク予測の改善を調べる。
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研究実績の概要 |
本研究では、難治性ネフローゼ症候群患者に対するリツキシマブ治療による有害薬物反応に関連する遺伝的要因を包括的に評価することを目的としている。
まずは本邦で初めて、小児期発症特発性ネフローゼ症候群の患者に投与されたリツキシマブによる低ガンマグロブリン血症あるいは無顆粒球症という有害反応を来した患者データベースの構築を行っており、全国の施設から、詳細な臨床情報とともに遺伝情報データの蓄積を継続している。このデータベースは重要なリソースとして今後の利用に繋がるものと考えている。
現時点において既に、難治性ネフローゼ症候群のために投与されたリツキシマブによる低ガンマグロブリン血症を発症した患者と・耐性対照群(リツキシマブによるこれらの有害反応を発症していない患者)はともに、本研究での目標サンプルサイズの9割の患者検体数の取得に至った。無顆粒球症を発症した患者に関しても、目標サンプルサイズの1/5程度に達した。よって、まずは第1段階として、2023年度第1四半期の終わりの時点で取得済であった検体を使用し、リツキシマブによる低ガンマグロブリン血症を表現型としたゲノムワイド関連解析を行った。結果として、ゲノムワイド有意水準を満たし、かつ、機能的にも有害薬物反応を生ずることが説明できうる、既報にはない新規の遺伝子領域を同定をすることができた。この結果は有害薬物反応のリスク予測に繋がり得る重要な知見と考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全国の協力施設から得られた検体を安全に保管するまでのフローに従い、多施設との連携をスムーズに行い、低ガンマグロブリン血症あるいは無顆粒球症を発症した有害薬物反応症例、および耐性対照群の血液サンプル・臨床情報を順調に集めることができた。さらに重要なことに、第一段階として行った限られた検体数でのゲノムワイド関連解析において、既に有意な所見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
多施設と密に連絡を取り合い、引き続きサンプル収集を続ける。2024年度の第二四半期の時点で、これまでに集められた全サンプルを用いて、再度ゲノムワイド関連解析を行う。さらに、ネフローゼ症候群に関連するポリジェニックな因子が有害薬物反応の発症に寄与する可能性を探索したり、有害薬物反応に関連する遺伝要因を有する患者のリスク予測についても検討していく。
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