研究課題/領域番号 |
22K15921
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
玉浦 萌 広島大学, 医系科学研究科(医), 研究員 (60876762)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 慢性皮膚粘膜カンジダ症 / IL-17シグナル伝達 / IL-17RC異常症 / IL-17F / 慢性皮膚粘膜カンジダ 症 |
研究開始時の研究の概要 |
IL-17AおよびIL-17FはIL-17RA/IL-17RC受容体を介してシグナル伝達を行い、局所粘膜のCandida albicans (C. albicans) を排除する。近年、IL-17RCがホモ受容体を形成し、IL-17Fと結合することが示されたが、シグナル伝達を行うかは不明である。本研究は、IL-17シグナル伝達障害により発症する慢性皮膚粘膜カンジダ症患者において同定済みのIL17RC遺伝子新規変異がIL-17RC異常症の発症原因となること、また、患者検体を用いて、IL-17RCホモ受容体を介してIL-17Fシグナル伝達が行われることを示すことを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、慢性粘膜皮膚カンジダ症(CMCD)患者において新規のIL17RC遺伝子変異を同定し、その病的意義を明らかにした。患者ではIL17RC遺伝子のエクソン13を含む131塩基対の重複変異がホモ接合性に認められた。患者由来線維芽細胞を用いた機能解析により、IL17RC mRNAとタンパク発現の低下、IL-17A刺激に対する反応性の欠如が確認された。さらに、変異型IL17RCを導入した細胞ではIL-17Aシグナル伝達が回復せず、一方で野生型IL17RCの導入によりIL-17A反応性が回復した。これらのことから、本変異がIL-17RCの機能喪失型変異であり、CMCD発症の原因であることが示された。
また、IL-17RCをノックアウトしたHeLa細胞を用いた機能解析系を新たに確立した。過去に報告されたIL17RC変異や、本研究で同定した新規変異がいずれも機能喪失型であることを実証し、樹立した実験系が変異の病原性を明確に判別できることを示した。さらに、患者、IL-17RA異常症および健常者由来線維芽細胞をIL-17A刺激した上でRNA-seq解析を行い、IL-17RAの欠損と同様に、IL-17RC欠損によってIL-17Aシグナル伝達が消失することを明らかにした。一方、IL-1βシグナル伝達には影響しないことも確認した。
本研究の成果として、IL17RCの新規変異を発見し、その機能喪失性を証明することでIL-17RC異常症の疾患概念を確立した。さらに、IL-17RCの変異の病原性を評価する実験系を構築したことで、今後同定される変異の機能解析が容易になると期待される。なお、本研究の成果は、「Isolated Chronic Mucocutaneous Candidiasis due to a Novel Duplication Variant of IL17RC」として論文発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
これまでの研究では、IL-17RA-IL-17RC受容体を介したIL-17Aの反応性を検証するにとどまっており、その他のシグナル伝達経路を検証する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
IL-17RA-IL-17RC受容体以外の受容体を介したIL-17Fシグナル伝達経路の検証を進める。
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