研究課題/領域番号 |
22K15936
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
松岡 大輔 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (90814567)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | アンジオテンシンII / アンジオテンシンII受容体 / βアレスチン / Gタンパク質 / アデノ随伴ウイルス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、後腎形成におけるアンジオテンシンII(AngII)の未解明の制御メカニズムを明らかにすることを目的とする。AngIIは後腎形成に必須だが、その詳細な分子メカニズムはわかっていない。AngII1型受容体(AT1R)下流のシグナル伝達経路はGタンパク質経路とβアレスチン経路に分類される。本研究では、まずβアレスチン経路を薬理学的に抑制し、腎組織に生じる形態および機能変化を追跡し、腎のどの細胞や構造に異常が生じるかを検討する。さらにその細胞種特異的なAT1R、βアレスチンKOマウスの作製、解析を行うことで、腎発生におけるAT1R/βアレスチン経路の役割とその分子メカニズムを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、後腎形成におけるアンジオテンシンII(AngII)の未解明の制御メカニズムを明らかにすることを目的とする。AngII 1型受容体(AT1R)の下流のシグナル伝達経路は、大きくGタンパク質経路とβアレスチン経路に分類できる。これまでに、この両経路を阻害するAngII受容体拮抗薬(ARB)を投与すると、腎臓の血管などに異常が生じることが示唆されているが、Gタンパク質経路とβアレスチン経路がそれぞれどのような役割を持つかは不明な点が多い。本研究の目的は、後腎発生におけるAngIIの未解明の分子メカニズムを明らかにすることであり、これを通して胎児に影響を与えないRAS阻害剤の開発や胎児期の後腎形成を促す方法の開発の端緒を探ることである。 本研究では、βアレスチン経路薬理学的に抑制し、マウスの後腎形成に及ぼすARBとβアレスチンバイアスアゴニスト(BBA)の効果の違いを比較した。マウスにP1から生理食塩水、ARB(Candesartan)、BBA(TRV027)を連日皮下投与し、P5、10、15に血液、尿、腎組織を回収し経時的に観察した。血液検査ではARB群で有意な腎機能障害を認め、尿検査では尿濃縮力低下を認めた。また、腎病理ではARB群において皮質菲薄化、髄質の委縮、細動脈の血管平滑筋の肥厚などを認めた。免疫染色では尿細管の形成不全を認めた。一方、BBA群と生理食塩水群では、これらの異常を認めなかった。 ARB群では腎組織学的形態異常を伴った腎不全を呈し、さらに、BBA群ではこうした表現型が認められなかったことから、後腎発生におけるAT1R/βアレスチン経路を介したAngIIの作用が重要であることが示唆された。 現在、並行して、アデノ随伴ウイルス(AAV)を利用した「後天的細胞種特異的遺伝子ノックアウトマウスモデル」の準備を進めている。
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