研究課題/領域番号 |
22K15948
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
篠原 務 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (50745932)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
|
キーワード | 肺高血圧 / シェアストレス / 内皮間葉転換 / ERG / 左右短絡マウス / 病的高シェアストレス / 先天性心疾患 / 肺血管リモデリング |
研究開始時の研究の概要 |
「病的高シェアストレスが内皮間葉転換を生じる」という仮説を、①フローポンプシステムを用いた肺動脈内皮細胞培養による実験系で示し、その治療ターゲットを解明する。我々の予備実験では、このシステムを用いて「血管内皮特有の転写因子ERGがその標的候補である」というデータを得ており、その機序を多面的に証明したうえで、②高肺血流モデルマウスを用いて、その標的因子を改善させる治療により肺血管リモデリングを抑制し、肺高血圧の進行が防げられることを示したい。
|
研究成果の概要 |
病的高シェアストレスを受けた肺動脈内皮細胞は、血管内皮細胞のマーカーの発現を低下させ、間葉系マーカーの発現を増加させ、内皮間葉転換を示した。さらに転写因子ERGの低下が、内皮間葉転換をきたす主要な原因であることが分かった。そこで左-右短絡マウスを、下行大動脈と下大静脈の隣接部を25ゲージ針で穿刺して作成した。術後8週で左-右短絡術マウスは肺高血圧となるが、アデノ関連ウイルスを用いてERGを肺血管に過剰発現させた左-右短絡術マウスは有意に肺高血圧が改善した。病的高シェアストレスは肺動脈内皮細胞の転写ERGを低下させ内皮間葉転換をきたし肺血管が閉塞していくことを見出だした。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
肺動脈性肺高血圧症の治療薬は血管拡張・収縮物質産生の不均衡理論に基づいている。しかしすでに病期の進行した症例においては治療抵抗性を指摘する数多くの報告がなされている。そこで本研究は、シミュレーション医学によって見出された、肺血管病変部に生じる病的高シェアストレスに焦点を当てた、血管リモデリングの機序の解明と新たな治療ターゲットを同定すことを目的として行った。肺循環の血管リモデリングの機序を病的高シェアストレス刺激に着目し、転写因子ERGの低下により内皮間葉転換が起こることを見出した本研究は独自性が非常に高く、新たな抗リモデリング治療のターゲットに繋がる可能性を秘めており、創造性が極めて高い。
|