研究課題/領域番号 |
22K15951
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 怜司 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20595194)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 右室不全 / 低酸素 / ミトコンドリア / 心筋エネルギー代謝 / 圧容積曲線 / 血管新生 / 線維化 / 低酸素血症 / HIF-1alfa |
研究開始時の研究の概要 |
現在までに発生学的・生理学的に左室とは異なる特徴を持つ右室の機能不全および低酸素血症を呈する病態を忠実に再現する実験動物モデルは欠如しており、チアノーゼ性心疾患(CCHD)の右室機能における詳細な検討は未だ成されていない。そのため左室不全研究の知見の応用に頼らざるを得ず、CCHDにおける右室不全に対し有効性が高い治療法が確立されていない。 申請者は幼児ラットに肺動脈絞扼術および低酸素環境で飼育することで、独自のCCHDの右室不全モデルを再現することに成功した。本研究では1)低酸素環境下における右室圧負荷順応病態、2)右室心筋細胞エネルギー産生機構、3)成長期の右室不全が与える影響を解明する。
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研究実績の概要 |
昨年度に引き続き「低酸素負荷肺動脈絞扼術ラット」のモデル作成を行った。 これまでに行った心室線維化の解析に加え、電子顕微鏡観察によるミトコンドリア形態評価を行い、右室では低酸素負荷および肺動脈絞扼術による圧負荷単独によりミトコンドリアの膨化および構造の破綻が生じることが判明した。しかし低酸素および圧の両負荷においてはミトコンドリア形態の更なる増悪は認められなかった。興味深いことに左室心筋ではこの効果は認められず、低酸素および両負荷により更なる構造破綻が生じていた。 ミトコンドリアDNAをRT-PCRにより解析したところ、線維化率と同様の傾向を認めた。 生理学的評価として、開胸下に心尖からカテーテルを挿入し圧容積曲線を取得し解析を行った。本負荷により飼育環境に関わらず同等の右室圧上昇が得られており、両心室共に収縮能は維持されていた。一方で左室は拡張能の低下傾向を認めた。心筋のエネルギー代謝を比較すると肺動脈絞扼術により右室はSW/PVAが上昇し、左室では大きな変化を認めなかった。 以上より低酸素および肺動脈絞扼術により心室筋ミトコンドリアは傷害されマイトファジーを生じる。マイトファジーは心筋内で炎症を生じ線維化が誘発され、拡張障害から心室機能低下が生じる。両負荷においては更なる増悪傾向は認められず、心室エネルギー代謝においては右室は圧負荷によりエネルギー効率を上げて代償していた。特に左室では低酸素負荷によりEa/Eesが上昇し心室エネルギー代謝において余剰エネルギーの減少が反映されており、ミトコンドリア傷害を反映していると考えられた。 今後、二心室間の差を解明するべく精査を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本実験においてモデルの再現性が良好であり、各種サンプル獲得が予定通りに進んでいる。今後免疫染色や分子生物学的解析を予定しているが、低酸素環境維持に関わる酸素レギュレーターとモニター故障が反復したため中断を余儀なくされたため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでin vivoで行う実験はおおむね終了することが出来た。今後は取得したサンプルを用いて病理学、分子生物学的解析を進める予定である。 対象領域は、血管新生とミトコンドリア代謝領域である。 それぞれに関わる領域の試薬の購入を進め、解析機器は当実験室に設置されているため順次進めていく予定である。
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