研究課題/領域番号 |
22K15955
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
坂谷 慧 旭川医科大学, 大学病院, 医員 (20624175)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | OMVs / EVs / エクソソーム / 腸内細菌 / 膜小胞 / OMV / small RNA |
研究開始時の研究の概要 |
腸内細菌は全身の疾患に深く関わると言われているが、宿主と細菌がどのようにコミュニケーションをとり、病態に影響を及ぼしているかは不明な点が多い。細菌も宿主細胞もそれぞれOMVsやEVsといった小胞を分泌して細菌間、宿主細胞間での情報伝達に用いているが、両者の分泌小胞に内包されるsmall RNAsの多くは種を越えて塩基配列が保存されていることが知られている。本研究では、腸内細菌および宿主由来の分泌小胞に内包されたsmall RNAsを介した腸内細菌―宿主間の双方向の情報伝達機構とそれらが病態に与える影響を明らかにし、病態に基づく新規の疾患マーカーや治療法開発への基盤的成果を得ることを目的とする。
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研究実績の概要 |
(1)腸内細菌由来のOMVs による宿主細胞の変化の検証 各種腸内細菌を培養し、その培養上清よりOMVsを超遠心法を用いて単離した。Lactobacillus spp.より単離したOMVsを大腸癌細胞株に投与し、細胞増殖能の変化をSRB assayにて評価したところ、大腸癌細胞の増殖抑制が確認された。このことから、これまでに報告されているLactobacillus spp.の抗腫瘍作用のメカニズムの一つとして、Lactobacillus由来の分子XがOMVを介して癌細胞に運ばれ、腫瘍増殖抑制に作用していることが示唆された。そこで、これらの増殖抑制がどのように起こるかについてメカニズムを明らかにするため、アポトーシスの有無、細胞周期変化をwestern blotting、TUNEL 染色、フローサイトメトリーを用いて検証中である。また、OMVsに内包されていると考えられる核酸(RNA, small RNA, DNA)については抽出を行い、同定およびヒト由来核酸との比較を行っている。 OMVsの産生量や内包されている物質は培養条件により異なるため、さらに最適な培養条件を検証中である。 (2)宿主細胞由来のEVsによる細菌の機能および細菌叢の変化の検討 正常大腸上皮細胞株(HCEC-1CT)、各種大腸癌細胞株の培養上清を細菌培養の培地に加え菌増殖能、短鎖脂肪酸(short chain fatty acid; SCFA)、 リポ多糖(Lipopolysaccharide; LPS)産生量の変化を計測するため、現在、各種細胞株の培養上清を細菌に加える際の最適な条件、炎症を惹起する条件を検証している。また、患者由来腸管上皮細胞EVs を細菌に投与するため、腸疾患患者の腸生検由来オルガノイドを作成し、オルガノイドからのEVsが充分に得られる条件を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)腸内細菌由来のOMVs による宿主細胞の変化の検証 各種腸内細菌を培養し、その培養上清より超遠心法にてOMVsを単離した。Lactobacillus spp.より単離したOMVsを大腸癌細胞株に投与し、大腸癌細胞の増殖抑制が確認された。このことから細菌由来のOMVsが他の種由来の細胞である癌細胞に作用し、その増殖を変化させることが明らかとなった。今後、増殖抑制のメカニズムやOMVsに内包されると考えられる核酸についてさらなる検証が必要であるが、ここまで概ね順調に進捗していると考えられる。
(2)宿主細胞由来のEVsによる細菌の機能および細菌叢の変化の検討 正常大腸上皮細胞株、各種大腸癌細胞株の培養上清を細菌培養の培地に加え、菌増殖能やSCFA、LPSの産生など細菌の機能変化を見る。これまでに各項目を評価する実験系を検証してきた。さらに各種細胞株の培養条件と細菌培養に添加する際の条件を検証中である。腸疾患患者の腸生検由来オルガノイドのストックも構築されてきており、概ね順調に進捗していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
(1)腸内細菌由来のOMVs による宿主細胞の変化の検証 腸内細菌株由来OMVsによる腫瘍増殖抑制が確認できたため、2023年度は患者由来腸内細菌を分離培養し、OMVsを単離、そのOMVsを細胞に加えた際の宿主細胞の変化を明らかにする。細胞増殖の変化をSRB アッセイにて、アポトーシスの有無、炎症性サイトカインの発現をqPCR、ELISA、western blotting、TUNEL 染色等で測定する。
(2)宿主細胞由来のEVsによる細菌の機能および細菌叢の変化の検討 2023年度は、各種細胞株また腸疾患患者由来細胞の培養上清およびEVsを細菌培養の培地に加え菌増殖能、SCFAを計測する。さらに細胞にTNF- α やIFN- γ を加えて炎症状態におき、培養上清またはEVsを細菌の培地に加え増殖能、LPS、SCFA 産生量を比較し、炎症下上皮細胞の培養上清およびEVsによる細菌への影響を明らかにする。特に、正常と腫瘍細胞、正常と炎症下の比較を行う。そして、変化が見られたEVs 内からRNA を抽出し、マイクロアレイにて疾患関連miRNAs およびcircRNAs を同定する。そして同じEVs をマウスに経口投与し、マウスの腸内細菌叢を16S rRNA seq にて解析する。
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