研究課題/領域番号 |
22K15956
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
滝川 哲也 東北大学, 大学病院, 助教 (70836882)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 膵癌 / 膵星細胞 / 細胞老化 / がん微小環境 / SASP因子 |
研究開始時の研究の概要 |
膵星細胞は膵癌周囲の線維性間質形成に中心的な役割を果たしている細胞であり、膵癌細胞との相互作用により膵癌進展に大きく寄与している。そのため、膵星細胞と線維性間質を膵癌治療のターゲットとする検討が多数報告されてきたが、いまだ実臨床に応用されていないのが現状である。近年では、膵星細胞の膵癌抑制的な作用が注目されてきており、膵星細胞の多様性という新しい視点から細胞間相互作用を捉えなおす必要がある。本研究では膵星細胞の細胞老化とSASP因子に着目して新しい膵癌制御機構を解明するとともに、老化膵星細胞をターゲットした新規治療法の開発を目指す。
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研究成果の概要 |
ヒト膵星細胞(hPSC)を過酸化水素とゲムシタビンで処理し、老化hPSCを作成した。老化hPSCの培養上清処理で、膵癌細胞の増殖能・遊走能・浸潤能が増強された。老化・非老化hPSC間で遺伝子プロファイルを比較するとCXCL1、CXCL2、CXCL3といったケモカイン類の上昇が確認できた。これらケモカイン類の阻害剤は、老化hPSC培養上清による膵癌細胞への増殖能・遊走能・浸潤能増強効果をキャンセルした。以上より、老化hPSCはケモカインなどを介して膵癌細胞の悪性度獲得に寄与する可能性が示された。今後は老化hPSCを選択的に死滅させるセノリティクス薬の探索を行っていく予定である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
膵癌は早期診断が困難な上に化学療法や放射線療法の効果も限定的であるため、その5年 生存率は10%にも満たない。膵星細胞(PSC)は膵癌周囲の線維性間質形成に中心的な役割を果たしている細胞である。PSCには癌促進的PSCとが癌抑制的PSCが存在することが明らかになってきており、癌促進的PSCを選択的に死滅させる薬剤の開発が求められている。 近年、他の癌腫で癌周囲の老化細胞と癌細胞の制御機構の存在が報告されているが、PSCにおける細胞老化の意義は不明な点が多い。本研究は、老化PSCと膵癌細胞という新しい膵癌制御機構の解明とともに、老化PSCをターゲットとした全く新しい治療法への応用が期待される。
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