研究課題/領域番号 |
22K15959
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
永尾 清香 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (30908299)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 胃癌 / 粘膜下層浸潤 / DEFA5 / STAT3 / 早期胃癌 |
研究開始時の研究の概要 |
早期胃癌は内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)によって根治が期待できるが、一部はESD後に転移再発をきたし予後不良である。500μm以上の粘膜下層浸潤が予後不良因子であることが明らかになりつつあるが、早期胃癌が浸潤能を獲得し悪性化していく分子生物学的機序については依然として不明な点が多い。本研究では、早期胃癌ESD後検体を用いて粘膜下層浸潤を有する早期胃癌に特徴的な遺伝子発現プロファイルを解析し、粘膜下層浸潤に関与する遺伝子を同定し、その生物学的意義を明らかにすることを目的とする。そこで得られた結果に基づいて、新たな胃癌治療法の開発および予後不良な早期胃癌を層別化するバイオマーカーの開発を目指す。
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研究成果の概要 |
早期胃癌の粘膜下層浸潤メカニズムを解明するため、マイクロアレイ解析と免疫組織染色を行った。その結果、粘膜下層浸潤胃癌では、抗菌ペプチドDEFA5の発現が顕著に低下していた。一方、JAK-STAT経路下流のpSTAT3は粘膜下層浸潤胃癌で亢進しており、DEFA5低下部位でpSTAT3が高発現していた。DEFA5は腸内細菌叢の恒常性維持に重要であり、その発現低下が腸内環境を変化させ、STAT3を活性化して癌浸潤を促進する可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、網羅的遺伝子発現解析により、早期胃癌の粘膜下層浸潤に関与する分子機構として、DEFA5発現低下とSTAT3活性化が関与している可能性が示唆された。DEFA5は腸内細菌叢制御に重要だが、癌浸潤への関与を示唆する知見が得られた点は学術的に意義深い。 本研究結果は、早期胃癌の進行機構解明に寄与する可能性を秘めており、早期胃癌の治療方針決定の精度向上とさらなる治療成績の改善につながることが期待される。
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