研究課題/領域番号 |
22K15971
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
長岡 克弥 熊本大学, 病院, 助教 (00759524)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 2-オキソグルタル酸 / 胆管癌 / DNA損傷 / アスパラギン酸-β-ヒドロキシラーゼ / 血液バイオマーカー / 胆道癌 / 膵癌 / 化学療法抵抗性 / エネルギー代謝 / 補酵素 |
研究開始時の研究の概要 |
切除不能胆道癌・膵癌の予後は極めて悪い。治療法の第一選択は現在もDNA合成阻害薬の投与であるが、奏効率は十分でなく治療効果予測のバイオマーカーも確立されていない。申請者は最近胆管癌の化学療法抵抗性とDNA損傷に関連する血清中の代謝中間代謝物の予備的知見を得た。 本研究では中間代謝物を補酵素とするタンパク質修飾酵素に着目し、網羅的な探索を加え胆道癌・膵癌の化学療法抵抗性とDNA損傷修復経路との関連を解析する。治療抵抗性の機序を明らかにし、効果予測のための新規バイオマーカーとしての検証を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では中間代謝物を補酵素とするタンパク質修飾酵素に着目し、胆道癌・膵癌の化学療法抵抗性とDNA損傷修復経路との関連を解析した。このことにより胆道癌・膵癌患者の化学療法抵抗性の分子機序を明らかにし、新規血液バイオマーカーとしての有用性の検証を行う。 今年度は、予備実験、ならびに前年度の実験結果を踏まえ、クエン酸回路の中間代謝物2-オキソグルタル酸(2-OG)に着目した。同時に、2-OG依存性ジオキシゲナーゼ(2-OGDD)の一 種、アスパラギン酸-β-ヒドロキシラーゼ(ASPH)についても調べた。全身化学療法を受けた肝内胆管癌(ICC)患者の治療直前の血清2-OG値を測定した。治療効果との関連を調べた結果、画像上進行(PD)と判定された患者は、 安定(SD)および部分奏功(PR)と判定された患者と比べ、2-OG値が有意に高かった。胆管癌由来培養細胞を用いた実験では、DNA損傷マーカーγ-H2AX抗体を用いたウエスタンブロッティング(WB)により、2-OG添加またはASPHの過剰発現細胞で は化学療法薬のDNA損傷作用が抑制されることを確認した。加えて、逆にASPHのノックダウンならびに特異的な低分子化合物によるASPHの阻害は、胆管癌細胞に おける化学療法の治療効果を増強することを見出した。加えて、WBによるDNA損傷シグナルの解析の結果、ASPHの過剰発現にてDNA損傷反応に関与する2つの主要な調節因子であるATMとATRの発現は変化しなかったが、ATRの活性化に寄与するATRIP、TopBP1など、いくつかの関連因子の発現に正の相関関係があることがわかった。加えて、2つの前臨床肝内胆管癌モデルにおいて、ASPHを標的とすることで、化学療法の治療効果が向上することを確認した。 以上の成果を英語論文としてまとめ、国際誌Cancer Lettersにて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、切除不能胆管癌患者で化学療法前1ヶ月以内に採取された血清の蓄積ならびに中間代謝物の測定を遂行できた。また、胆管培養細胞、動物モデルを用いた解析にて、DNA損傷マーカー(γ-H2AX抗体)を用いた解析を行うことで、血清中の代謝物2-OGを補酵素とするアスパラギン酸-β-ヒドロキシラーゼと、化学療法により誘導された DNA損傷の関係の詳細についての解析を完了することができた。また、本成果を論文としてまとめ、国際誌にて報告することができた。
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今後の研究の推進方策 |
上記胆管癌症例に関連する研究につき、当初の予定通り、化学療法治療効果に関連する代謝物として2-OGを同定した。 今後は、現在症例を蓄積中である切除不能膵癌症例・膵癌術前化学療法症例についても解析を行う。胆管癌・膵癌においては現在癌組織により直接的に接している胆汁を用いた解析を進めており、血清と胆汁を用いた解析から、新しい血液バイオマーカーの開発を目指す。
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