研究課題/領域番号 |
22K15982
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
付 慶傑 北海道大学, 医学研究院, 博士研究員 (20905509)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | CAR T細胞療法 / CAR T療法 / 膵臓星細胞 / 膵癌 / 星細胞 / 肝線維化 / CARーT 細胞療法 |
研究開始時の研究の概要 |
肝硬変は、肝臓の線維化が進行した予後不良の病態であり、有効な治療法も限られている。キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T 細胞)はB細胞性腫瘍を標的として臨床応用されているが、悪性腫瘍以外の疾患にも有効である可能性がある。本研究では、肝線維化に関与する分子を標的として、肝線維化の進行を抑制する CAR-T 細胞の開発を目的とし、細胞実験ならびに動物実験により効果を明らかにして臨床応用への基盤を整える。具体的には、肝線維化の主な原因である活性化した肝星細胞に対する CAR-T 細胞の効果を確認し、CAR-T 細胞が肝線維化モデル動物の線維化進行を抑制できるかどうかを評価する。
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研究実績の概要 |
本研究は、CAR-T細胞による活性化した肝星細胞の特異的な除去後、肝線維症が改善されるかどうかを検討することを目的としている。しかし、マウスの活細胞染色では明確なFAPの発現が観察されず、また、NASHモデルや四塩化炭素誘発のマウス肝線維症モデルでは、肝線維化領域でのFAP過剰発現が検出されていなかった。そのため、人間の肝線維症では肝星細胞がFAPを過剰発現することが広く報告されているにもかかわらず、マウスの肝線維症モデルではFAP CAR-T療法の実験に適していない事が明らかになった。 肝星細胞の他、膵臓にも星細胞(PSC)が存在し、膵癌発症時には癌関連成線維芽細胞(CAF)として活性化される。膵臓星細胞も活性化後にFAPを発現すると報告されているため、我々は膵臓星細胞を標的としたCAR-T細胞療法の膵癌治療における可能性について検討した。 まず、我々はマウスPSCを分離し、活性化されたPSCのFAPの過剰発現を確認した。次に、FAP CAR-T細胞とPSCを共培養し、未処理(Blank)のT細胞やMOCK T細胞と比較すると、FAP CAR-T細胞が特異的にPSCを死滅させることを確認した。また、膵癌腫瘍微小環境(TME)をシミュレートするために、マウス膵癌細胞(KPCY)と活性化したPSCを用い、3D共培養を行った。PSCが腫瘍細胞の増殖を促進することを確認し、3D共培養システムにFAP CAR-T細胞を追加すると、腫瘍細胞の増殖が抑制され、その上、CAR-T療法とGemcitabineを併用することで、腫瘍細胞の増殖がさらに抑制されることが明らかになった。 我々はin vitroの実験において、CAFに対するCAR-T細胞の特異的な除去が膵癌細胞の増殖を抑制することを確認した。今後は動物実験を実施し、CAR-T細胞のin vivoでの抗腫瘍効果を検討する。
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