研究課題/領域番号 |
22K15993
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
川上 智 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任講師 (80596883)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 膵癌 / リキッドバイオプシー / microRNA / 抗がん剤耐性 / 早期診断 / エクソソーム / miR-10-5p / 膵液 / IPMN / 体液生検法 / 消化器癌 / 遺伝子 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、膵癌をはじめとする消化器癌の腫瘍細胞由来エクソソームに内包するmicroRNAプロファイリングから臨床に関連するマーカーを探索する新しい体液生検法の開発を目的とし、以下を計画する。 1.血液/体液からエクソソームを単離し、表面マーカーを利用し腫瘍細胞由来エクソソームを濃縮する。 2.腫瘍細胞由来エクソソームからのmiRNAを抽出し増幅する。 3.次世代シークエンサーによるmiRNAを標的としたRNA sequenceにより候補miRNAを抽出し、多数の検体で検証する。
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研究実績の概要 |
血液を用いたmicroRNA解析に先立ち、候補マーカーを同定すべく予備実験を行った。予備実験は膵癌切除組織や膵液を用いて網羅的microRNA解析を行い、比較としては抗がん剤への反応性を元に郡分け、あるいはIPMN切除例の良悪性で郡分けして行なった。予後不良な膵癌を克服するには早期発見法の開発に加え、化学療法の耐性機序を解明することも極めて重要である。膵癌切除検体の遺伝子解析は多くなされているが、術前化学療法(NAC)が施行された切除検体の遺伝子発現は未解明である。NAC後切除組織は化学療法感受性に関与する性質を保持していると考えられ、化学療法耐性に関与する遺伝子異常を解明するうえで貴重である。今回、NAC後切除検体の遺伝子解析により化学療法耐性遺伝子を同定することを目的とした。NAC後の切除を企図した膵癌37例を対象とした。結果1: 抽出されたmicro RNAの濃度は平均102.1±41.7 ng/μl、リード数は平均29600±27443 readsであった。結果2: Volcano plot解析によりmicroRNAの発言量を比較したところ、耐性群ではmiR-194-5pの発現量が有意に亢進しており(p=0.004)、miR-133a-3p(p=0.04)、miR-490-5p(p=0.01)、miR-490-3p(p=0.005)の発現量が有意に低下していた。結果3: miR-194-5pはクロマチン制御因子CHD4やPD-Ls発現制御により、腫瘍進行や癌組織における免疫回避に関与することが報告されている。また、miR-490-3pは他の癌種において腫瘍抑制micro RNAと報告されており、膵癌NACの治療効果と矛盾のない結果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
miR-133a-3p、miR-490-5p、miR-490-3pの発現量が有意に低下しており、候補マーカーとして3つ同定することができた。今後はこの3つのマーカーについて血液検体などを使用して検証作業を行なっていく。
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今後の研究の推進方策 |
予備実験として膵癌切除組織や膵液を用いて網羅的microRNA解析を行い、比較としては抗がん剤への反応性を元に郡分け、あるいはIPMN切除例の良悪性で郡分けして行うことで膵癌切除組織や膵液を用いた早期膵癌診断および悪性候補マーカーの同定が完了した。今後は多数例の血液検体を用いて検証を行なっていく。予後不良な膵癌を克服するには早期発見法の開発に加え、化学療法の耐性機序を解明することも極めて重要であり、膵癌切除検体の遺伝子解析は多くなされているが、術前化学療法(NAC)が施行された切除検体の遺伝子発現は未解明である。NAC後切除組織は化学療法感受性に関与する性質を保持していると考えられ、化学療法耐性に関与する遺伝子異常を解明するうえで期待がもたれる研究と考える。
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