研究課題/領域番号 |
22K15994
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
二階堂 光洋 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (30828885)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 未分化型胃癌 / 遺伝子解析 |
研究開始時の研究の概要 |
未分化型胃癌の多くは印環細胞癌成分と低分化腺癌成分が混在している。従来、印環細胞癌として発癌し、低分化腺癌へ変化し浸潤するモデルが考えられてきたが、未分化型胃癌が発癌、浸潤するメカニズムは未だ解明されていない部分が多い。未分化型胃癌を、同一腫瘍内の組織型毎に、また、粘膜内病変部、粘膜下層浸潤部に分けて、ゲノム異常を解析することにより、発癌、浸潤に関わる分子メカニズムを明らかにする。周囲の非腫瘍組織のゲノム異常も解析し、それらの比較により発癌メカニズムも探索する。これらのメカニズムが解明されれば、新たなバイオマーカーの開発や、新たなターゲット治療の創出への貢献が期待できる。
|
研究実績の概要 |
未分化型胃癌の発癌と浸潤のメカニズムを解明することを目的に、前年度から継続している未分化型胃癌の癌組織のマルチサンプリング、非腫瘍胃粘膜組織の単一腺管サンプリングに加えて、前癌病変と考えられる若年性ポリポーシスの胃ポリープについても単一腺管サンプリングを行い、遺伝子解析を行った。また、同様に前がん病変と考えられる胃腺窩上皮型腫瘍、胃底腺型腫瘍、幽門腺腺腫などの胃型粘液形質を有する腫瘍からも組織型や粘液形質を考慮したマルチサンプリングを行い、遺伝子解析を開始した。未分化型の早期胃癌に関しては、組織型、浸潤部位ごとの精緻なサンプリングと、解析可能な十分な質と量のDNA、RNAの抽出に依然難渋しており、進行胃癌や、未分化型胃癌に分化型胃癌が混在している症例を含めて検討を進めている。十分なサンプル数が集積できていないため、統合的な解析は行っていない。 派生研究として行った若年性ポリポーシスの胃ポリープの解析結果に関して、論文報告を行った。胃限局型若年性ポリポーシスの症例に、SMAD4の生殖細胞系列変異を認め、ポリープ部分ではSMAD4の体細胞変異が加わり、一部にSMAD4の発現低下がみられた。非ポリープ部分でも組織学的にはポリープ部分に類似した変化が見られたが、SMAD4の体細胞変異は認めずSMAD4の発現が保たれていた。SMAD4体細胞変異のセカンドヒットがポリープ形成に関わっている可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
目標の30例を超える研究同意を得ることができた。未分化型胃癌に関して、組織型、浸潤部位ごとの正確なサンプリングと十分量のDNA、RNAの抽出には依然難渋しているため、進捗は遅れている。引き続き、サンプリングとサンプル処理の条件検討を行っていく。未分化型胃癌と分化型胃癌混在症例や、胃腺窩上皮型腫瘍、胃底腺型腫瘍、幽門腺腺腫などの胃型粘液形質を有する腫瘍の症例の解析も開始している。
|
今後の研究の推進方策 |
DNA、RNA抽出用サンプルの採取、処理方法について、保存条件、レーザーマイクロダイセクション時の適切な薄切の厚みや染色法の検討を引き続き行っていく。未分化型胃癌について今後もサンプリング、遺伝子解析を継続し、十分なサンプル数が集まったところでまとまった解析を進める方針である。非腫瘍組織や胃型粘液形質を有する腫瘍についても検討を進め、統合的に解析し発癌に関わるメカニズムの解明を目指す。RNAについては、空間トランスクリプトーム解析の利用も検討している。
|