研究課題/領域番号 |
22K16005
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
清原 裕貴 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (20626379)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 炎症性腸疾患 / 腸管外合併症 / 末梢性脊椎関節炎 / 体軸性脊椎関節炎 / 腸内細菌叢 |
研究開始時の研究の概要 |
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎ならびにクローン病)においては、関節症や皮膚症状といった消化管以外の臓器への症状を来す、"腸管外合併症"が高い頻度でみられるが、その発症機序や自然史はいまだ十分に明らかとなっていない。近年腸内細菌叢の異常は、炎症性腸疾患のみならず、動脈硬化性疾患、肥満、抑うつなど全身の様々な臓器における疾患発症との関係が注目されている。本研究はこの腸管外合併症の疾患経過や治療の効果と、腸内細菌の変化との関係を明らかにするため、腸管外合併症を有する方の腸内細菌叢を解析し、臨床経過と対比することで、腸管外合併症における腸内細菌叢の特徴や、予後に関わる菌叢の変化を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
本研究は、炎症性腸疾患(IBD)患者のうち腸管外合併症を有する患者における腸内細菌叢の特徴と、臨床経過における特徴を明らかにすることを目的としている。基礎研究領域として、腸管外合併症を有する炎症性腸疾患患者の糞便を用いた腸内細菌叢の解析を、臨床研究領域として腸管外合併症を有するIBD患者における臨床的な特徴を明らかにすることを目指している。当年度は、腸管外合併症の中で最も高頻度にみられる関節症状を有する患者の臨床的特徴を検討した。慶應義塾大学病院においてレセプトで「潰瘍性大腸炎」もしくは「クローン病」の傷病名を有し、さらに2021年5月から2022年5月までの1年間に、同院リウマチ膠原病内科に受診歴のある308名の患者について、後方視的に診療情報を検索した。この308名の患者のうち、IBD unclassifiedなどの潰瘍性大腸炎ないしクローン病の診断に該当しない者、診療録において十分な情報を有していない者を除外し、最終的にリウマチ膠原病内科において、炎症性腸疾患関連脊椎関節炎(以下IBD関連SpA)と診断された52名の患者を解析対象とした。末梢性脊椎関節炎(以下pSpA)は43名、体軸性脊椎関節炎(aSpA)は5名、pSpAとaSpAの混合性脊椎関節炎(cSpA)は4名該当した。pSpAのうち34名(79.1%)で関節エコーが実施され、このうち30/34名(88.2%)で腱付着部炎などの異常所見が認められ、pSpAに対する関節エコーの有用性が示唆された。IBD関連SpAの症状改善が得られた薬剤は、pSpAでは抗Tumor necrosis factor (TNF)-α抗体製剤が32.6%で最も多く、次いで非ステロイド性消炎鎮痛剤のみで改善した症例が14.0%であった。一方でaSpAの症例では全例が抗TNF-α抗体製剤で改善していた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、臨床研究領域として腸管外合併症を有する患者における臨床的特徴の検討、基礎研究領域としてそれらの患者の腸内細菌叢解析に分かれる。本研究へ協力をいただける対象患者の組み入れが進まなかったことと、本研究に割くことができるエフォートが当初の見積もりを下回ったため、基礎研究パートである腸内細菌叢の解析への着手に当該年度内に至らなかったことから、現在の進捗状況としては遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は、基礎研究領域である腸内細菌叢の解析について、特にIBD関連SpAの診断がなされている患者を中心に進めていく予定である。また、腸管外合併症を有さないIBD患者の腸内細菌叢を対照群として、腸内細菌叢の比較検討を行い、治療薬への反応に対する予測因子としての検討をはじめ、臨床経過との対比を進めていく方針としている。
|