研究課題/領域番号 |
22K16015
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
村手 健太郎 名古屋大学, 医学系研究科, 客員研究者 (50936549)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | クローン病 / 腸管線維化 / 粘膜低酸素領域 / 免疫学的解析 |
研究開始時の研究の概要 |
クローン病(CD)の次世代型治療として、抗炎症治療のみならずその後に生じる線維化を予防する新たな治療法の開発が喫緊の課題となっている。 腸管の線維化は、線維芽細胞等の活性化に伴う細胞外マトリクス等の産生が要因とされ、その活性化には組織に浸潤する免疫細胞が深く関与している。加えて、腸管は低酸素環境であり、近年CD患者の組織に発現する低酸素関連転写因子(HIF)の活性化がCDの病態に深く関連していることが報告されている。 本研究課題では、クローン病(CD)患者において低酸素状態により誘導される線維化メカニズムを解明し、CDの線維化を予防する薬剤および予測法の開発につなげることを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は酸素飽和度感知内視鏡により経時的に採取した粘膜検体を用いて、①各病期で免疫細胞群、関連分子発現を解析し、②同定分子に着目した新規線維化モデルマウス(ヒト慢性炎症線維化モデル)によるin vivo機能解析を実施し、③酸素飽和度感知内視鏡画像及び同定分子がCD患者の線維化や予後予測のマーカーとなりうるかを検証することで、抗線維化治療につながる新規因子の同定及び治療を必要とする患者の同定を目的とする。 背景として、クローン病(CD)の過度の腸管線維化は頻回の手術が必要となり、患者QOLに直結する解決すべき喫急の課題である。線維化は創傷治癒に必要な過程であるが、線維化の程度には個体差が存在する。そして、その差異の原因はCDの疾患の特徴上より免疫学的な関連が予想されるが、未だに不明である。しかし、(繊維化の関連因子として)近年低酸素関連因子(HIF等)と線維化の関連が数々報告されている。その為研究代表者は低酸素領域での免疫細胞の関与に、CD患者の腸管の過度の線維化を起こすプロセスがあるのでは無いかと仮定し実験を計画した。On timeで低酸素領域を同定できる内視鏡を用いて経時的なsample採取を行い、網羅的解析を含めた免疫学的解析を施行している。 また独自に開発した小腸線維化モデルマウスをbaseに、特定した因子のコンディションノックアウトマウスを作成しin vivo実験を行い、同定した因子の線維化との関連を解明する。 同時に小腸線維化部位より採取した腸管線維芽細胞を用いたin vitro実験を計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、異なる経過を取った患者(炎症→軽度線維化、炎症→過度の線維化)の時系列sampleを(炎症期、線維化期の低酸素領域及び正常領域)を用いて患者間での比較をRNAseqにて網羅的解析を実施している。当初の予定では、現時点で解析完了している予定であったが、COVID19の蔓延(COVID19の蔓延により外来及び入院患者の内視鏡治療が従来よりも大幅に減少した。これは、病院の方針(緊急性の高い場合以外の検査であれば極力検査を延期及び、1日の検査数を制限する方針)でもあり、恐らく他の医療機関も同様である)により、内視鏡検査数及び手術件数の減少の影響を受けたが、現在sampleが揃い解析を開始する状況である。 また我々は以前施行した別のCD患者の線維化部位の(内視鏡的)低酸素領域及び正常領域での免疫細胞解析により、特定の免疫細胞が関連している可能性を考慮している(未発表データ)。その免疫細胞が線維化の本質に関連する可能性を考慮し、CD患者の線維化部位の内視鏡sampleや手術検体を用いて、現在sample回収し免疫学的解析を施行している。その上記実験の結果より、我々の着目している因子は線維化の差異に関連している可能性が高いと考えている。 また、独自に開発した小腸線維化モデルマウスについても同上の因子の関連を確認した。
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今後の研究の推進方策 |
網羅的解析結果より、経時的な変化に伴った腸管線維化の程度の差異を引き起こす可能性のある因子を同定し、我々の着目する免疫細胞との関連を解明していく予定である。またコンディションノックアウトマウスの作成を進めていく予定である。同時に、上記関連因子を同定できれば、独自に作成した小腸線維化マウスに上記因子の阻害剤を投与し、効果判定することも考慮している。そして、小腸線維芽細胞に同上因子を過剰発現及びノックアウトしたものを準備し線維化の程度を比較検討することも考慮している。 CDの過度の腸管線維化を予防(及び可能であれば治療も考慮)できる可能性のある新たな因子の発見を目指していきたいと考えている。
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