研究課題/領域番号 |
22K16019
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西尾 啓 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (50934907)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | B型肝炎 / B型慢性肝炎 / 免疫 / T細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
HBV特異的CD4+T細胞は、B型急性肝炎におけるHBV排除に重要な役割を果たすことは知られているが、B型慢性肝炎における詳細な役割は未だ明らかにはなっていない。そこで本研究課題では、包括的にHBV特異的CD4+T細胞を検出し、シングルセルシーケンスにて解析する。HBs抗原高値患者とHBs抗原低値もしくは陰性化患者の血中HBV特異的CD4+T細胞を比較検討し、HBs抗原の陰性化に関わるHBV特異的CD4+T細胞のクラスターを同定する。in vitroの系での共培養実験により同定したクラスターの機能解析や、誘導機構について検討する。これらによりB型慢性肝炎治癒に関わる新たな免疫機構の解明を目指す
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研究実績の概要 |
世界には2.5億人のHBV持続感染患者が存在する。HBVは肝細胞内に侵入すると、HBVゲノムである不完全環状二本鎖DNAが肝細胞内の核内に移行し、完全閉鎖二本鎖(cccDNA)に修復され、それを鋳型として、HBVの複製に必要な全てのウイルスmRNAが転写される。しかし、cccDNAはクロマチン様構造を呈した状態で核内に安定に存在するため、抗ウイルス治療によるcccDNAの排除は困難である。それゆえ、機能的治癒が現在の治療目標とされているが、核酸アナログ製剤やペグインターフェロン治療などの既存の治療法で機能的治癒が得られるのは、10%未満に限られている。それゆえ、B型慢性肝炎に対する合理的な治療戦略の確立のためにも、HBV感染時の免疫動態のさらなる理解が求められている。HBV感染時の獲得免疫応答は主にCD4+T細胞及びCD8+T細胞が関与している。CD8+T細胞はT細胞受容体を介して抗原ペプチド・MHCclassI複合体を認識し、抗原ペプチドが提示されている感染細胞をアポトーシスに誘導し、感染細胞ごと破壊し、ウイルスを排除する。またIFN-a、TNF-a分泌により抗HBV効果を発揮する。一方、CD4+T細胞はMHCclassII分子とHBV由来ペプチドの複合体を認識し、サイトカイン産生で直接ウイルス制御を行うとともに、抗原特異的CD8+T細胞の誘導を補助し、さらにB細胞による抗体産生にも関わる。本研究課題では、HBV特異的T細胞の同定及び単離に成功した。HBs抗原高値患者とHBs抗原低値もしくは陰性化患者の血中HBV特異的T細胞プロファイルを比較検討したところ、HBs抗原高値例では低値例に比し、Th2様プロファイルを有することが明らかとなり、HBV特異的T細胞のプロファイル変容はHBV持続感染に寄与する可能性が示唆された。
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