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胃粘膜微小血管における動的内視鏡診断体系の構築

研究課題

研究課題/領域番号 22K16029
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分53010:消化器内科学関連
研究機関順天堂大学

研究代表者

赤澤 陽一  順天堂大学, 医学部, 助教 (80822006)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
キーワード早期胃癌 / 血流速度 / 拡大内視鏡
研究開始時の研究の概要

胃がんの内視鏡診断は多様化し従来よりも診断が困難な胃がんが増加しているため、胃がんの内視鏡診断精度の更なる向上および拾い上げと診断に関する新たなモダリティの開発が求められている。本研究では、従来の静止画を用いた形態診断学とは全く異なる着想として、拡大内視鏡観察から得られる胃粘膜微小血管の血流速度を用いた新たな動的内視鏡診断技術・診断体系の構築を目的とする。解析対象は、胃がんなどの胃病変の内視鏡診断に加え、全身疾患の病態と胃粘膜血流の関係性などの生体機能評価への発展を目指す。

研究実績の概要

申請者らによるpilot研究では、非癌病変(良性斑状発赤)に比較して胃癌の血流速度は有意に遅いことを明らかにし、胃粘膜微小血管血流診断の有用性について報告した(Ueyama H, Akazawa Y, et al. J Gastroenterol Hepatol.2021)。Pilot研究における血流速度解析は、申請者らが独自に構築した方法で行われたが、より正確かつ客観的なデータ解析のため、富士フイルムとの共同研究にて血流速度を自動計算するソフトウェアのプロトタイプ を開発した。 その後、本ソフトウェアについてその診断制度の検証を行うべく、M-BLIを施行し、胃表層微小血管および血管内を走行する赤血球が視認可能であった早期胃癌 31病変(癌群)および斑状発赤40病変(非癌群)を対象として検証試験を行った。その結果、癌群での血流速度のの平均は、0.95(0.69-1.34)mm/sec、非癌群では12.1(0.80-1.95)mm/secであり、有意差をもって癌群で低い結果であった(P<0.01)。微小血管血流速度自動解析システムのソフトウェアを用いた客観的な評価により、早期胃癌は斑状発赤に比較して有意に血流速度が遅いことが明らかになり、既報の研究結果に矛盾が無いことが確認・検証することができた。また、ソフトウェアの血流診断能と内視鏡医の診断能の比較検討について検討を行い、内視鏡医と同等以上の診断能を有することを明らかにした。これらの研究結果は、第103回 日本消化器内視鏡学会総会、第105回日本内視鏡学会総会、第31回JDDW(第106回日本消化器内視鏡学会総会)、United European GastroenterologyWeek, 2023にて発表を行った。現在さらに多施設共同での研究を行っており、原著論文にて報告を予定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

理由 血流速度を自動解析するソフトウェアについて、内視鏡医との診断精度に関する比較検討は未だ行われておらず、申請者らは早期胃癌31病変(癌群)及び早期胃癌と鑑別が必要であった斑状発赤40病変(非癌群)を対象とし、ソフトウェア群と内視鏡医群における診断能の比較検討を行った。ソフトウェア群では、事前に検証した癌/非癌のcut off値(1.09 mm/sec)に準じて診断を行った。内視鏡医は消化器内視鏡学会専門医5名と非専門医4名が動画を閲覧し診断を行った。その 結果、診断能については、ソフトウェア群で、感度/特異度/陽性的中率/陰性的中率=90.3/89.7/87.2/92.3%、内視鏡医群では、専門医:感度/特異度/陽性的中率 /陰性的中率=85.9/87.2/80.0/85.5%、非専門医:70.0/82.7/80.6/71.0%、であり、ソフトウェア群で診断能が良好であることが確認でき、血流速度解析ソフトウェアは、内視鏡医と比較して良好な早期胃癌診断能を示し、早期胃癌に対する新たな診断デバイスとして有用である可能性が考えられた。また、早期胃癌の中での内視鏡医でも診断が困難な胃癌が存在するが(診断困難症例)、診断困難症例に対するソフトウェア診断の有用性についても検討を行い、第105回日本内視鏡学会総会、第31回JDDW(第106回日本消化器内視鏡学会総会)にて報告を行った。これらの研究結果から、血流診断ソフトウェアは新たな診断モダリティとして臨床応用が期待できると考えられる。

今後の研究の推進方策

今後原著論文の作成を経てソフトウェアの診断精度の向上および臨床応用を目指す。また、癌と斑状発赤についての血流速度解析の有用性についてはある程度検証できたが、そのほかの病変や背景胃粘膜についての解析、他臓器(食道・十二指腸・大腸)などについてもさらなる追加研究を行っていく方針である。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (5件)

  • [学会発表] 内視鏡診断が困難な早期胃癌に対する胃粘膜血流速度解析ソフトウェアの有用性2023

    • 著者名/発表者名
      赤澤陽一、上山浩也、永原章仁
    • 学会等名
      第31回JDDW(第106回日本消化器内視鏡学会総会)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 早期胃癌の範囲診断と質的診断におけるNBIおよびBLI併用非拡大内視鏡の検討2023

    • 著者名/発表者名
      赤澤 陽一, 上山 浩也, 山本 桃子, 岩野 知世, 内田 涼太, 宇都宮 尚典, 阿部 大樹, 沖 翔太朗, 鈴木 信之, 池田 厚, 竹田 努, 上田 久美子, 北條 麻理子, 八尾 隆史, 永原 章仁.
    • 学会等名
      第105回日本内視鏡学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] A novel endoscopic modality for microvascular blood flow rate analysis using magnifying endoscopy in the early gastric cancer2023

    • 著者名/発表者名
      Akazawa Y, Ueyama H, Uemura Y, Iwano T, Yamamoto M, Uchida R, Utsunomiya H, Oki S, Suzuki N, Abe D, Ikeda A, Takeda T, Ueda K, Asaoka D, Hojo M, Nojiri S, Nagahara A
    • 学会等名
      United European GastroenterologyWeek, 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 胃拡大内視鏡を用いた微小血管血流速度の自動解析システムの開発2022

    • 著者名/発表者名
      赤澤陽一、上山浩也、永原章仁
    • 学会等名
      第103回 日本消化器内視鏡学会総会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 胃拡大内視鏡を用いた微小血管血流速度解析システムの有用性2022

    • 著者名/発表者名
      赤澤陽一、上山浩也、永原章仁
    • 学会等名
      Japan Digestive Disease Week 2022
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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