研究課題/領域番号 |
22K16036
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
木村 成宏 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任助教 (80838649)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 胆管障害 / 胆管再生 / 原発性硬化性胆管炎 / 間葉系幹細胞 / 制御性T細胞 / 再生 |
研究開始時の研究の概要 |
原発性硬化性胆管炎(PSC)は進行性の胆汁鬱滞性疾患であり、有効な内科的治療がなく予後不良である。原因は不明であるが免疫を抑制する制御性T(Treg)細胞低下が指摘されており、その病態に深くかかわっている可能性がある。PSCモデルマウスに対してIL-2投与によってTreg細胞は肝臓内で増加したもののPSC改善効果が確認されなかった。一方で間葉系幹細胞(MSC)はその投与によってPSCの病態改善効果とTreg上昇効果が報告されている。MSC及びIL-2投与によって増加したTreg細胞集団を比較・解析することで将来的に新規治療法へ発展させたい。
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研究実績の概要 |
本研究ではMSC投与によりPSCモデルマウスにおいて、PSCの病勢に効果的なTreg細胞の上昇を捉え、その免疫、生化学的な特徴を明らかにし、人PSC患者においても同様な治療効果があるか検討したい。 本年の研究はまず、胆管障害における間葉系幹細胞(MSC)の影響を解析するために、胆管障害マウスモデルを作成した。胆管障害モデルには0.1%DDC添加食(DDC diet)を給餌し、7日間の投与を行った。DDC Dietにより十分な胆管障害が起きていることを体重減少、採血での肝逸脱酵素上昇および免疫染色でのCK19陽性細胞数の増加で確認した。DDC diet開始時にIL-2を投与することで制御性T細胞を増加させたが、体重減少、肝逸脱酵素、CK19陽性細胞の改善は認めなかった。MSC投与群においても、体重の減少比率や採血結果は有意差を認めなかったため、胆管障害時のIL-2、MSC投与効果は低いと考えた。つづいてMSCの胆管再生への影響を検討するために、5日間のDDC diet投与後3日間のNormal diet期間を設ける胆管再生モデルを作成した。Normal dietへの食事変更時にMSC投与、非投与群を分けることで胆管再生へのMSCの影響を解析した。Normal dietへ変更後2日後にMSC投与群では有意差を持って体重の増加が認められ、MSCの治療効果が示唆された。3日目に肝臓を摘出し、肝臓内のリンパ球をFlow cytometolyで解析すると、コントロール群に比べて制御性T細胞のうち、Jagged1やHeliosといった因子の上昇を認め、またCD206陽性のM2マクロファージの増加を認めた。MSC投与により肝臓内の免疫細胞が変化し、胆管再生を促進されたと考えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究環境に恵まれており、十分な実験施設とエフォートを確保でき、必要な物品も過不足なく科研費で購入できている。そのため当初の計画通りに胆管障害および胆管再生におけるTreg細胞の影響をMSC投与の観点から明らかにしつつあるように思える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は胆管再生モデルにおいて、MSC投与群およびコントロール群の肝臓内から免疫細胞をSortingし、RNA seqなどで網羅的に遺伝子解析を行うことで、免疫系への影響を解析する。その結果を持って、抗体などを使用し制御性T細胞やマクロファージの機能を低下させることを検討している。
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