研究課題/領域番号 |
22K16037
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
村居 和寿 金沢大学, 保健学系, 助教 (10828099)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 肝がん / 免疫チェックポイント阻害剤 / 腫瘍免疫 |
研究開始時の研究の概要 |
免疫抑制分子PD-1/PD-L1を標的とした免疫チェックポイント阻害剤(ICI)は、悪性黒色腫をはじめ多種の固形がんに対し有効性を示す。しかしながら、肝がんに対するICIの治療効果は十分ではなく、最近進行肝臓がんの一次治療として認可されたアテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法においても奏効率は27%に留まっている。本研究では、シングルセルマルチオミックス解析を駆使した肝がん微小環境の解析から、ICIの治療効果に関与する宿主因子の同定を目指す。
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研究実績の概要 |
全世界において年間約70万人もの人々が肝細胞がんにより死亡している。肝細胞がんに対する治療法は外科的手術・ラジオ波焼灼療法・肝動脈塞栓療法・分子標的薬などにより格段に進歩したが、進行性肝がんの5年生存率は依然として低く、新規治療戦略の考案が喫緊の課題である。免疫抑制分子PD-1/PD-L1を標的とした免疫チェックポイント阻害剤は、悪性黒色腫をはじめ多種の固形がんに対し有効性を示す。しかしながら、肝細胞がんに対する免疫チェックポイント阻害剤の治療効果は十分ではなく、最近進行肝臓がんの一次治療として認可されたアテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法に於いても奏効率は27%に留まっている。本研究では、肝細胞がんにおいて免疫チェックポイント阻害治療抵抗性を惹起する腫瘍側因子を同定し、その因子を標的とした新規治療法の考案を目的とした。 近年、免疫チェックポイント阻害剤の治療効果を規定するがん組織の特徴が明らかになりつつあり、腫瘍浸潤リンパ球が多い炎症性の“Hot”な腫瘍では治療効果が高く、腫瘍浸潤リンパ球が少ない非炎症性の“Cold”な腫瘍では治療効果が不良であることが報告されている。申請者は、リンパ球浸潤度を規定する因子が腫瘍細胞側に存在すると考え、150症例の肝がん組織を対象に網羅的遺伝子発現解析を行った。この解析から、T細胞マーカーである“CD3”発現と逆相関する遺伝子として“GeneX”を同定した。 腫瘍に浸潤する免疫細胞のシングルセル解析をおこなったところ、GeneX KO腫瘍では野生型腫瘍と比較し、抗PD-1抗体の治療成績を規定するバイオマーカーであるCytotoxic T cell、Effector memory T cell、疲弊前駆T細胞の増加が認められた。今後、GeneXによるT細胞浸潤制御メカニズムを明らかにしていきたいと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書通りシングルセル解析を行い、GeneXが免疫細胞に与える影響を評価した。興味深いことに、GeneX KO腫瘍では野生型腫瘍と比較し、抗PD-1抗体の治療成績を規定するバイオマーカーであるCytotoxic T cell、Effector memory T cell、疲弊前駆T細胞の増加が認められた。ここまでの研究は概ね順調に進展しており、今後GeneXによるT細胞浸潤制御メカニズムを明らかにすることで、GeneXを標的とした新規治療法の考案を目指していきたいと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後、空間的情報、タンパク質情報などの複数モダリティを取り入れた統合解析“Single-cell multimodal omics”を駆使した解析を行い、GeneXが肝がん微小環境に与える影響を明らかにしてい区予定である。
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