研究課題/領域番号 |
22K16040
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
武藤 久哲 名古屋大学, 医学系研究科, 客員研究者 (80909127)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | Siglec-9 / defensin / MMP-13 / 乳歯歯髄幹細胞 / NASH |
研究開始時の研究の概要 |
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は、世界的な社会問題となっているが、現在NASHに対しての有効な薬物治療は確立されていない。研究代表者らは近年、ヒト乳歯歯髄幹細胞培養上清(SHED-CM)がNASHマウスモデルにおいて肝臓における抗炎症作用や腸管バリア保護効果を含む多面的な作用を介して、肝線維化進展を抑制することを見出した。本研究の目的はSHED-CMに含まれる多数の液性因子のうち、どの因子がNASHの病態改善の中心的役割を果たしているかを解明することで、高度線維化を伴うNASHの有望な治療としての可能性を探索することである。
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研究実績の概要 |
本年度は、in vivoでの検討を中心に行った。 in vivoの検討として、9週齢のC57BL/6Jマウス雄にWestern Dietと高濃度糖水の経口投与および週1回CCl4の腹腔内投与を12週行い、NASHマウスモデルを作成した。同時にsSiglec-9 10ng/gまたはコントロールとしてPBSを週1回腹腔内投与した。4kD-FITCdextranを経口投与し、その2時間後に血中濃度を測定することで、腸管透過性の評価を行った。その後解剖し、腸管組織のRNA sequenceを用いたトランスクリプトーム解析を行うとともに、肝臓の組織学的な評価を行った。 sSiglec-9投与によって、NASHマウスモデルの腸管透過性亢進を有意に抑制した。sSiglec-9群とPBS群の腸管のトランスクリプトーム解析において、CD177、Olfm4や多くのディフェンシンを含む発現変動遺伝子を34個同定した。これらの遺伝子のGO解析により、「Membrane disruption in another organism」「Innate immune response in mucosa」など腸管粘膜免疫に関連した遺伝子群に有意な濃縮を認めた。この結果は、SHED-CM投与による結果と類似していた。肝組織においては、門脈域の炎症がsSiglec-9において改善傾向を認めた。 これらの結果から、sSiglec-9は、NASHマウスモデルにおいて腸管粘膜免疫に作用し、その恒常性を保つことで腸管バリア機能を保護し、肝組織の改善に寄与する可能性がある。sSiglec-9は、SHED-CMと同様にNASHに対する有望な治療ストラテジーとなり得ると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vivoでのマウス実験が概ね順調に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
sSiglec-9投与による肝臓組織に対する効果について、in vivoでさらに検討を行う予定である。また、腸内細菌の変化についても解析予定である。
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