研究課題/領域番号 |
22K16045
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
岡田 泰行 徳島大学, 病院, 特任助教 (60815447)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 膵癌 / AI / 化学療法 / miRNAモデル / バイオマーカー |
研究開始時の研究の概要 |
切除不能膵癌の化学療法は、現在GEM/Nab-PTXとFOLFIRINOXの2レジメンが第1選択になっているが、それらの有効性を予測する方法は無い。本研究では、まず多数例の切除不能膵癌患者の治療前血清を用いて、miRNAを次世代RNAシークエンスにより網羅的に解析してmiRNAプロファイルを作製する。次いで、GEM/Nab-PTXとFOLFIRINOX治療群をそれぞれ奏効群と非奏効群に分けて、各々の治療効果を複数のmiRNA値からAI診断するモデルを作製する。さらに、別のコホートにて、治療効果を的確に予測できるかどうかを検証する。
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研究実績の概要 |
本研究では膵癌の化学療法の効果を予測するmiRNAパネルを構築することを目的としている。現在までに膵癌62例およびhealthy donor10例の治療前血清からRNAを抽出し、Taqman RT-PCR法でmiR199を定量化したところ、有意に膵癌群でmiR199の発現が高いことがわかった(p<0.001)。診断能としてはAUC=0.83、Sensitivity 88.7%, Specificity 70.0%であった。ついで化学療法で治療された切除不能膵癌症例で検討したところ、miR199の高発現群で全生存期間が低発現群と比較して有意に短かった。次いで化学療法の効果予測が可能かCTのRECIST基準に基づいて、miR199の発現と治療効果について検討を行った。治療レジメン別でみるとgemcitabineレジメンを使用した膵癌症例22例で検討すると無増悪生存期間、全生存期間がともにmiR199高発現群で低発現群より有意に短かった。一方、5-FUを使用した膵癌症例ではmiR199の発現では全生存期間および無増悪生存期間に有意差は認めなかった。これらの結果からはmiR199はgemcitabineに関連した効果を予測できる可能性がある。今後は、診断能の向上目的に他のmiRNAでも同様の検討を行い、miRNAパネルを構築しvalidationコホートでそのパネルの妥当性について検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該研究ではこれまでに集めた症例に加え、新規の膵癌症例から血液サンプルを集める必要があったが、予定より集まった症例が少なかったたため症例の蓄積に時間を要した。さらに、抽出時のRNAの質や濃度が悪く解析できない症例が存在したため、予定よりも少ない数での検討となった。またこれまでに集積した症例の臨床データの収集に時間を要したためやや遅れていると評価した。しかしながら、まだRNAを抽出し、miRNAの発現を測定できていない膵癌症例が60例程度存在している。検討予定であった他のmiRNAの発現についてはすべての症例で検討を行えていない状況であるものの、今後においては検討に必要な器具はそろっておりすべての症例で発現を測定し、miRNAパネルの構築を期待できると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は引き続き被検者より血清サンプルの収集を進める。さらにこれまでに同定した膵癌の予後に関わっているmiR296-5p、miR29の発現および化学療法の効果との検討を行い、現在までに測定を行ったmiR199の発現値と組み合わせて最適なAIモデル式を構築し、別のvalidationコホートでの検証を計画通りに進める予定である。
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