研究課題/領域番号 |
22K16055
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
佐藤 寿史 順天堂大学, 医学部, 助教 (60900983)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | エラストカイン / 非アルコール性脂肪肝炎 / 肝線維化 |
研究開始時の研究の概要 |
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、代謝異常に伴う脂肪肝を背景に炎症・線維化を生じ肝硬変に進展するとともに高率に肝発癌がみられる。エラスチンが分解されるとエラスチン由来ペプチド(EDP)が産生される。その中でも生理活性をもつエラストカインがNASHの病態進展を誘導すると共に腫瘍微小環境に作用し肝発癌に寄与する可能性がある。本研究において肝線維化に対するエラストカインの作用機転を解明しNASH肝発癌プロセスにおけるエラストカインの役割を検証することで肝発癌抑止アプローチを試みる。
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研究実績の概要 |
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は肥満やメタボリック症候群を背景に発症し, 脂肪化に加えて炎症, 線維化を伴い, 予後は線維化の進行および肝発癌に規定される. 我々は肝線維化の回復プロセスにおいて, 細胞外マトリックス(ECM)分子であるエラスチンおよびその特異的分解酵素であるMMP12の発現動態の重要性を見出した(Sato T. et al. Matrix biology plus 2023 Vol. 17). しかし, NASHの病態における関与はまだ不明である. 本研究ではエラスチンおよび『エラストカイン』のエラスチン由来ペプチド(EDP)に着目し, NASH病態進展および肝発癌におけるEDPおよびエラスチン受容体複合体(ERC)とその下流シグナルの役割を解明することを目的としている. NASH初期病態モデルとして肥満・インスリン抵抗性を発症するKK-Ayマウスを用い, NASH肝発癌モデルとしてSTAMマウス(ストレプトゾトシン+高脂肪食モデル)の作成を行った.またエラストカイン発現モデル(陽性対照)として四塩化炭素誘導肝線維化モデルを作成した. 現在それぞれのマウスにおける肝脂肪化, 炎症細胞浸潤, 線維化および肝腫瘍形成の進展におけるエラスチン, EDPおよびエラスターゼ活性を測定している. 引き続き同モデルにおいて腫瘍増殖に関与する下流のc-Metシグナルの動的変化を解析しin vitro系での解析に移行していく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各動物モデルから血清および肝組織サンプルを採取し,肝病態(肝脂肪化、炎症、線維化、肝発がん)においてEDP発現量の変動を測定している段階である. In vitro系でのエラスチン作用の細胞腫毎の検証まで至っていないがおおむね順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
In vitro系の検証を行っていく. マウス肝をコラゲナーゼ環流法で細胞を単離し, エラストカイン投与によるEDPとERCの発現を指標としてシングルセル解析を行うことにより, エラストカインが作用する細胞腫を同定する. ターゲットとなる細胞の初代培養の系を作成し, in vitroにおけるエラスチンの作用を細胞腫毎に検証すると共に, エラスチン誘導フェロトーシスの阻害剤Ferrostatin 1を添加してエラスチン関連シグナルにおけるフェロトーシスの役割を明確にする. NASHおよびNASH肝癌患者の血清中EDPを検出し, NASHの進展とEDP発現の関連を証明する. エラスチンを起点とするEDPおよびERCの活性化がNASHの病態形成・肝発癌に及ぼす影響を解明することにより, エラスチン関連シグナル伝達経路をターゲットとしたNASHの抗肝線維化・抗肝発癌療法の確立を目指す.
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