研究課題/領域番号 |
22K16059
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
|
研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
中野 暖 久留米大学, 医学部, 助教 (40723987)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 肝臓癌 / SGLT2 / SGLT2阻害剤 / 脂肪酸代謝 / 電子伝達系 / プリン、ピリミジン経路 / ミトコンドリア / ケモカイン / 背景肝 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、ヒト肝癌組織、SGLT2の発現を遺伝子と蛋白レベルの両方で検討することである。また、SGLT2阻害剤の作用により引き起こされる微小環境の変化が肝臓癌の増殖に及ぼす影響を確認するための研究である。本研究は糖尿病薬を用いた、肝癌に対するより新たな治療戦略を検討しうるものである。
|
研究実績の概要 |
これまでに我々は肝癌細胞株のミトコンドリア内にSGLT2が発現している事、SGLT2阻害剤を肝癌細胞株に投与することで肝癌細胞株の増殖が抑制される事、肝癌細胞株の増殖抑制効果が、アポトーシスではなく、細胞周期の低下による増殖能の低下によるものであること、さらにメタボローム解析にてSGLT2阻害剤は複数の代謝経路を変更させる効果を確認した。 さらに詳細に代謝経路の変化を追求するためにプロテオーム解析を同様の実験系で行い、2つのオミックス解析を用いることでより詳細な代謝の変化を確認した。明らかに変化した経路として、1)電子伝達系、2)脂肪酸代謝経路、3)DNA合成経路であるピリン、ピリミジン経路、の3経路が主に代謝の変化を起こしていることを明らかとした。 さらに我々は、病理部と共同で研究を行うことでヒトの組織を用いてSGLT2の発現についての確認を行った。腎臓の近位尿細管以外にも、心筋組織、脾臓組織、正常ヒト肝組織にもSGLT2が発現していることが確認できた。さらには胆管細胞にもSGLT2が発現していることが確認できた。 一方でMultiplex解析を用い、肝細胞株であるHep3BおよびHuh7において、共にSGLT2阻害剤投与群とコントロール群におけるケモカインの発現量を比較した。その結果、SGLT2阻害剤を肝癌細胞株に投与することでCXCL1, 8, 10, M-CSFといった癌増殖に関与するサイトカインが減少することが明らかとなった。 これらのことからSGLT2阻害剤は肝細胞癌を直接的および間接的に増殖抑制を起こす可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
背景肝におけるSGLT2の発現を確認するとともに、それ以外のヒトの組織におけるSGLT2の発現を確認した。 また、肝癌細胞株におけるSGLT2阻害剤投与時のケモカインの変化を確認することが出来た。
|
今後の研究の推進方策 |
ヒト肝癌組織におけるSGLT2の発現を確認するとともに、癌の悪性度や背景によるSGLT2の発現量の確認を行う。 また、今回確認が出来たケモカインの変化が、肝細胞癌におけるものだけではなく、SGLT2の発現による変化であることを確認する。
|