研究課題/領域番号 |
22K16060
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
|
研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
青沼 達也 旭川医科大学, 医学部, 助教 (90646001)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | long noncoding RNA / がん治療関連心機能障害 / トラスツズマブ / 抗HER2療法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、世界中で増加傾向である乳癌患者に広く使用されているトラスツズマブ(Trastuzumab:TZB)治療によって発生する心毒性に焦点を当て、TZB関連心毒性の病態における長鎖非コードRNA(long noncoding RNA:lncRNA)の役割について検討する。本研究で得られた知見より、TZB関連心毒性の早期診断及び新規治療標的の開発を通じて最終的には乳癌患者の予後改善を目標とする。
|
研究実績の概要 |
アントラサイクリン系抗がん剤としてエピルビシンの治療を受けた後にトラスツズマブ(Trastuzumab:TZB)治療を受けた乳がん患者は合計11名と研究開始時の予想よりかなり少ないが、すでに心臓超音波検査で測定した左室駆出率が低下したTZB関連心毒性(+)を2症例確認している。心毒性が発症した2症例では、心筋障害のマーカーであるトロポニンTの明らかな増加はなく、心不全マーカーのNT-proBNPに関しても1症例ではNT-proBNPの明らかな上昇は見られず、一般的な心不全診療で使用されている採血項目ではTZB関連心毒性検出が難しいことが再認識された。 各症例で回収した血漿サンプルは-80℃で保存しており、適宜RNAを抽出して後のlong noncoding RNAアレイ解析に用いる予定である。また、すでにHER2未投与群のリクルートも開始している。
心筋細胞株としてPromo cell社のHuman cardiac myocyte(HCM)にドキソルビシン(Doxorubicin:DOX)を5-10μMで4時間、次いでTZBを1-10 μMで20時間を投与する系でTUNEL法による細胞のアポトーシス誘導、細胞内ROS産生をそれぞれ評価しており、前年度はDOXによってHCMのアポトーシス陽性細胞数、細胞内ROSが有意に増加することが確認されたが、DOX後にTZBを投与してアポトーシス陽性細胞、細胞内ROSをDOX単剤より増加させる実験系は未だに確立できていない。TZBによって、わずかに細胞ROSが上昇する傾向も見られたが、TZBによる細胞障害と判断できるかは追加実験が必要と考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19感染症対策の外来患者制限はなかったが、化学療法を導入する新規の乳がん患者が予定よりも少なかった。TZB投与群の心毒性症例の割合は予想より多かったため、次年度はコントロール群の症例登録を積極的に行なっていく予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き今までの症例登録を継続するが、患者リクルート方法に改善点が無いか見直しを行う。現在登録されている症例は比較的均一な集団であるため、予定より少ない5、6症例程度のTZB関連心毒性(+)症例が確保できたらアレイ解析を行う。
ヒト培養心筋細胞株のTZB心毒性を評価する系に関しては、TZBの投与量、投与時間延長などの条件変更を行い細胞のアポトーシス誘導やROS産生が増加するか再確認するが、当初予定していたミトコンドリア機能評価も行う。また、野生型マウスにDOXとTZBを投与して、TZB関連心毒性を評価する系の確立にも着手している。
|