研究課題/領域番号 |
22K16065
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
門脇 裕 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00915431)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 心不全 / ドキソルビシン / miRNA / エクソソーム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はがんによる要因と心臓の機能との関わりについて調査する研究である。近年、がんと循環器疾患との病態的な関連性を取り扱う学術分野、腫瘍循環器学 (Onco-cardiology) の重要性が認識され世界的に発展している。しかし、未だ基礎研究からの報告は数少なく、本研究は腫瘍学と循環器病学を横断的に取り扱う貴重な研究である。アントラサイクリン系薬剤は乳がん、血液腫瘍、肉腫など多くのがん種に適応を有するがん診療において必須の薬剤であり、本研究によって得た知見や結果を応用することによって、がんや心不全患者の診療技術の向上に寄与する可能性がある。
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研究実績の概要 |
アントラサイクリン系薬剤は今なお重要な抗がん剤だが、重篤な心筋症を誘発した場合がん患者の生命予後を著しく悪化させる。アントラサイクリン心筋症の病態機序の全容は解明されておらず確立した治療はない。本研究はがん存在下に、マウスや培養心筋細胞に対するアントラサイクリン系薬剤の心毒性を解析し、がん由来因子が心臓に与える影響を解析し、アントラサイクリン心筋症の病態機序の解明と治療標的分子の同定を目的としている。 当該研究員は、マウス乳がん細胞を皮下移植することにより作成した担がんマウスに対して、ドキソルビシン (アントラサイクリン系薬剤の代表的薬剤) を投与しがんドキソルビシンマウスを樹立した。がんドキソルビシンマウスでは、強い心機能障害および心臓萎縮が認められ、何らかのがん由来因子がアントラサイクリン系薬剤に伴う心毒性を助長している可能性が示唆された。さらにがんドキソルビシンマウスの血清由来エクソソームをドキソルビシンと共添加すると、ラット新生仔心筋細胞に対して著明な心筋細胞障害を誘導した。続いて、がんドキソルビシンマウスの血清由来エクソソームに内包されるmiRNAを抽出した後に、miRNAアレイ法を用いた網羅的発現解析を行い、がん由来因子となり得る候補miRNAを明らかにした。がん由来miRNAは、アントラサイクリン系薬剤投与に伴う心毒性を増強することによって、心筋症の表現型の増悪に関わる可能性がある。 がん由来miRNAをアントラサイクリン心筋症の新たな診断・発症予測モダリティー、あるいは治療ターゲットとして応用することによって将来的に診療技術が向上することが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アントラサイクリン心筋症を増悪するがん由来因子の候補として、担がんドキソルビシンマウスの血清由来エクソソーム内のmiRNAを解析した。さらに得られたmiRNAを遺伝子編集を用いて細胞への過剰発現実験を実施した。 これまでの研究成果に関連した知見を基に論文執筆・招待講演・著書の執筆などを行った。これらの成果が、当初の研究計画に即していることから、現在までの進捗状況はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
特定のmiRNA発現の変化を導入した心筋細胞に対して、ドキソルビシンを負荷した場合にどのような表現型変化がもたらされるかについて検討し、アントラサイクリン心筋症の機序について更に精査を進める。
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