研究課題/領域番号 |
22K16072
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
舟越 俊介 京都大学, iPS細胞研究所, 特定助教 (70941772)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 3次元成熟心臓組織 / 拡張型心筋症 / 薬剤性心筋症 / 心臓オルガノイド / 心臓トロポニンT変異 / ドキソルビシン心筋症 / iPS細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
ホルモン、脂肪、脂質代謝薬を用いたiPS細胞由来心筋の成熟化法、心外膜細胞と心室筋細胞の共培養により心筋細胞と非心筋細胞のインタラクションを再現できる心臓オルガノイド作製法を組み合わせることにより、より病態を反映した拡張型心筋症オルガノイドモデルを確立する。そして、遺伝子ネットワーク解析、化合物スクリーニング、機械学習などを組み合わせることにより、拡張型心筋症に対する新規バイオマーカー探索と新規治療ターゲット探索を行う。
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研究実績の概要 |
実際のDCM患者で認めれるTNNT2ヘテロ変異iPS細胞を用いて、サルコメア構造比較、収縮力測定を行ったが、未熟心筋細胞や成熟化後心筋細胞を用いた解析では変異株、健常株の間に有意な差は認められなかった。心筋症には病気の進行には時間がかかることが知られているため、病的表現系を顕在化する更なる刺激が必要と考えられ、Isoproterenol負荷、ペーシング負荷、サイトカイン負荷などを行った。その中で、心不全における増悪因子の一つとして複数のサイトカイン刺激がサルコメア構造障害、収縮力低下を誘導することが明らかとなった。刺激条件下でTNNT2ヘテロ変異株では健常株に比べ、サルコメア障害が大きい傾向が見られ、現在サイトカイン組み合わせの最適化、その条件下での収縮力測定を含め、データを収集中である。 また、別のサルコメア障害性の心筋症として、薬剤性心筋障害であるドキソルビシン心筋症モデルを確立した。ドキソルビシン負荷後には、サルコメア障害、それに伴う収縮力低下が認められた。そこで、サルコメア障害画像を機械学習にて判定し、障害度をスコア化するシステムを構築した。そのシステムを用いて、サルコメアスコアを改善する化合物探索を目的としたHTSをFDA承認薬ライブラリーを用いて施行し、ドキソルビシン負荷下にサルコメアスコアを有意に上昇させる候補化合物を19個同定した。現在、19個の候補化合物をドキソルビシンと同時に3次元成熟心臓組織に添加することにより、収縮力低下を抑制できる化合物の絞り込みを行っており、サルコメア障害の抑制により実際に心臓収縮機能改善に至る治療薬候補化合物の同定を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TNNT2変異iPS細胞を用いた心臓オルガノイド、engineered heart tissueによるDCM表現系顕在化を試みており、候補の負荷条件が絞られてきている。また、ドキソルビシン心筋症モデルにおいては、機械学習によるサルコメア障害の定量化に成功し、HTSにより新規治療候補薬の同定にまで至っている。この方法は薬剤性心筋障害だけでなく、サルコメア障害を有する心筋症において有効な評価系であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、サルコメア変異に伴う拡張型心筋症、薬剤性拡張型心筋症モデルを心臓オルガノイド、EHTを用いて観察し、それぞれの疾患特異的、また共通する疾患メカニズムの解明を目指す。薬剤性心筋障害に関しては、画像、機械学習を用いたHTS系による新規治療候補化合物探索に加え、RNAシークエンスによる遺伝子発現解析を行い、疾患進展に関わるregulator geneの同定を試みる。また、サルコメア変異に伴うDCMモデルに関しては、病的表現系の顕在化因子の同定を進める。
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