研究課題/領域番号 |
22K16114
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
成田 圭佑 自治医科大学, 医学部, 病院助教 (60912756)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 循環動態 / 心不全 / 血圧測定 / 血圧脈波 / 高血圧 / 血圧変動 / 心機能 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、心不全患者は急増し、その予防が喫緊の課題となっている。一般診療所において、専門性が高い心エコー検査を、多数の外来患者に対してスクリーニングとして用いるのは限界がある。申請者らは新規開発したマルチセンサー搭載自由行動下血圧脈波計を用い得られたカフ容積脈波による指標が、心エコー検査での左室収縮能と有意に関連するという予備的結果を得た。本研究では、自由行動下血圧脈波計で得たカフ容積脈波指標が、心機能の推定に有用であるという仮説を検証する。本研究により、一般に広く普及している上腕カフ型血圧計を用いた簡便な心不全ハイリスク患者のスクリーニング法を開発し、より早期からの心不全予防介入が可能となる。
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研究実績の概要 |
心不全患者が急増しているわが国において、より簡便に心機能低下患者をスクリーニングすることは早期の治療介入につながり、心不全患者の入院や死亡を防ぐことにつながる。従来の心機能推定法には、心臓超音波もしくは心カテーテルなどの観血的方法が用いられ、高度な専門性が要求され、多くの患者に対してスクリーニングとして実施することは現実的には困難である。 そこで、我々は通常の血圧測定に用いる上腕カフ式血圧測定によって得たカフ容積脈波から心拍出量をはじめとする心機能の推定法を新規に開発した。血圧測定によって得られるカフ容積脈波から前方駆出波を推定し、同波形から心拍出量を推定する。この測定方法が有用であれば、臨床現場において普及している血圧測定によって、簡便かつ侵襲なく心機能を推定することが可能となる。 我々はこの測定系を用いて、心不全患者20名の治療前後の血圧、血圧脈波データと心臓超音波による心機能の関連についての検討を行った。結果として、血圧脈波指標と心臓超音波による心駆出率の間に有意な関連が観察された。さらに、心不全治療前後で、心機能改善例については、血圧脈波指標の有意な改善を認め、一方で、心機能改善が得られなかった集団については血圧脈波指標も同様に改善を認めなかった。これらの結果より、少数例ではあるものの、新規血圧脈波指標の心機能推定における有用性が示唆された。この研究結果については、アメリカ心臓病学会(ACC)の査読付き学術誌であるJACC Advanceにおいて論文を公表することができた[Narita K, et al. JACC Adv 2024 Jan, 3 (1) 100737]。現在、登録数は200名を超えている。これらの心不全患者についてすでに血圧脈波データを取得し、血圧脈波指標の心機能推定における有用性についてさらに解析および新たな論文作成を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、250例の心不全症例について、研究登録を実施し、血圧および血圧脈波データを取得することができた。研究当初の目標例数である500例までは到達していないものの、すでに横断的解析を実施するには不足ない症例数と考えられる。現時点で、未発表データではあるが、新たに開発した血圧脈波指標と心機能の間にはすでに有意な相関を認めている。研究の進捗状況はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
我々が新たに開発した血圧脈波指標について、心不全患者における検討を行ったところ、心臓超音波検査における心機能との有意な関連を認めている。今後は、血圧脈波指標の精度の向上を目標とする。血圧測定時に得られるカフ容積脈波は不整脈や身体活動などによるアーチファクトの影響を受けるため、脈波取得時のアルゴリズムや計算処理方法の改善を行う。さらに、心不全以外の患者集団、高血圧やその他の弁膜症患者などに対象を拡大し、血圧脈波指標の有用性を検討する。
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