研究課題/領域番号 |
22K16125
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
千葉 弓子 旭川医科大学, 医学部, 助教 (70835777)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 糖尿病性心筋症 / ROS / 心不全 / 機械的負荷 / TRPC3 / NOX2 / 酸化ストレス / 肥満 |
研究開始時の研究の概要 |
活性酸素種(Reactive Oxygen Species: ROS)は心臓に対する慢性的な圧/容量負荷時の心筋リモデリング~心不全発症に関わる因子の一つであると同時に生体に必要な生理活性物質でもある。しかし、心臓の機械的負荷に対応するための生理的なROSと慢性的な負荷によって発症する病的なROSの関連は明らかではない。本研究では両者を繋ぐ鍵として、心筋の慢性的な機械的負荷時のROS産生に関わるtransient receptor potential canonical 3(TRPC3)に着目し、生理的ROSと病的なROSの関連から見た心不全発症メカニズムの新たな側面を明らかにする。
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研究実績の概要 |
心不全の発症要因として高血圧のような心筋の慢性的な力学負荷によって誘発される酸化ストレスが挙げられる。心筋細胞を一時的に急性伸展刺激をすると酸化ストレスの要因となる活性酸素種(Reactive Oxygen Species: ROS)が産生されることが知られているが、この伸展誘発性ROSが過剰に産生されることで、心不全などの病態を惹起しているのではないかと考えた。 糖尿病患者は非糖尿病患者に比べ心不全の発症率が高いことから、Diet induced obesity(DIO)マウスの心筋の伸展誘発性ROS産生を調べたところ、有意に増加していた。さらに詳細に解析したところ、伸展誘発性ROS産生の増加は高血糖由来ではなく、臓器間ネットワークを介し伸展誘発性ROSが増加していたことが示唆された。 心筋の伸展誘発性ROS産生はNOX2由来であることが分かっており、今後NOX2 KOマウスなどを用いて生理的なROSが病的ROSになるメカニズムを探索する予定である。 また、伸展誘発性のROSはパネキシンチャネルが伸展刺激を感知しATPが放出することで、そのATPがP2Y-PLC-TRPC3-NOX2 pathwayを活性化させ、産生されることが明らかとなった。伸展誘発性のROSは心筋収縮性維持の為の生理的なROSであることも解明された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高血糖により病的なROSが増加すると当初想定していたが、伸展誘発性ROSの増加は臓器間ネットワークを介したものであることが明らかとなった。また、伸展誘発性ROSを産生するNOX2を欠損させたマウスも順調に増えており、本研究はおおむね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
心筋において伸展誘発性ROSを産生させるNOX2を欠損させたマウスを用いて、伸展誘発性ROS産生が抑制された場合の糖尿病性の心筋症について解析予定である。
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